従来、資金調達の手段と言えば銀行からの融資や投資家からの出資が一般的であった。ところが近年は、インターネットの普及により「クラウドファンディング」と呼ばれる資金調達の手法が新たに活用され始めている。そこで今回の記事では「クラウドファンディングとは何なのか」について分かりやすく解説していく。

目次

  1. クラウドファンディングとは
    1. クラウドファンディングの概要
    2. クラウドファンディングの歴史
    3. クラウドファンディングの決済方法
  2. クラウドファンディングの3つのメリット
    1. 1実績や確実性のない企業でも資金調達できる
    2. 2ブランディングやファンの獲得につながる
    3. 3テストマーケティングの手段にもなる
  3. クラウドファンディングの3つのデメリット
    1. 1ビジネスモデルやアイディアを盗まれるリスクがある
    2. 2目標としていた金額を調達できない場合もある
    3. 3資金を得るまでに時間がかかる
  4. クラウドファンディングの種類
    1. 1購入型
    2. 2寄付型
    3. 3株式投資型
    4. 4融資型(ソーシャルレンディング)
    5. 5ファンド型
  5. スタートアップ企業でもクラウドファンディングなら資金調達が期待できる

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは?メリットや種類を徹底解説!
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

はじめにクラウドファンディングについて最低限知っておくべき内容を解説する。

クラウドファンディングの概要

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を集める資金調達方法の一つだ。「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」を組み合わせていることからクラウドファンディングと呼ばれている。今まで用いられていた資金調達の方法との決定的な違いは、インターネット上で資金調達を募ることができる点だ。

例えば九州にある中小企業が北海道の投資家から資金調達することもできるため、既存の資金調達手法とは大きく異なるものと言える。

クラウドファンディングの歴史

多くの人はクラウドファンディングを新しい資金調達の手法と認識しているが似たような資金調達方法は、世界中で古くからある。例えば神社仏閣の修復工事や改築工事もまた信者や考えに賛同してくれた人から集めた資金を使って行われていた。現在行われているクラウドファンディングの形は、2000年代後半にアメリカで始まったとされている。

インターネットで手軽に資金を調達できる画期的な仕組みが評判を呼び2010年以降はアメリカのみならず世界各地でクラウドファンディングのサービスが活用されることとなった。日本でも2013年にIT大手のサイバーエージェントがクラウドファンディング市場に新規参入するなど大きな盛り上がりを見せている。

クラウドファンディングの決済方法

クラウドファンディングの決済方法(資金を受け取る条件)には「All in方式」「All or Nothing方式」の2種類がある。All in方式とは、あらかじめ定めた目標金額に到達せずとも集まった金額を受け取れる決済方法だ。一方で All or Nothing方式は、目標金額に達した場合にのみ集まったお金を受け取れる決済方式である。

例えば200万円を目標金額として100万円しか集まらなかった場合、 All in方式であれば100万円を受け取れるが All or Nothing方式の場合は1円も受け取ることはできない。一見するとAll in方式のほうが良いと感じる人もいるだろう。しかしたとえ目標金額に達しなくても支援者に対してリターンを渡す義務が生じるため注意が必要だ。

クラウドファンディングの3つのメリット

資金を集める側の視点から見た場合、クラウドファンディングには以下の3つのメリットがある。

・実績や確実性のない企業でも資金調達できる
・ブランディングやファンの獲得につながる
・テストマーケティングの手段にもなる

1実績や確実性のない企業でも資金調達できる

従来の融資や出資などの資金調達方法では、実績のある経営者やリターン獲得の可能性が高いビジネスでないと希望する金額を調達するのが困難であった。一方でクラウドファンディングでは、一般の人たちや全国各地の経営者など幅広い相手の中から賛同を得られれば資金を調達できるためユニークな事業でも問題ない。

社会貢献性の高い事業、将来的な潜在力の高いビジネスであれば実績や確実性がなくても資金調達できる可能性がある。設立したばかりのベンチャー企業でも資金調達しやすい点は、クラウドファンディングの持つ最大のメリットだ。

2ブランディングやファンの獲得につながる

ブランディングやファン獲得の手段として活用できる点もクラウドファンディング特有のメリットである。クラウドファンディングで資金を調達するには、基本的にビジネスモデルや製品・サービスをインターネット上に公開することが必要だ。自社の活動を広く知ってもらえるため、ブランドの認知度や人気度を高めたり活動に賛同した人にファンになってもらえたりすることが期待できる。

継続的に自社製品・サービスを利用してくれるファンの獲得により長期的な収益を増やせる点は、ベンチャー企業にとって魅力的なメリットとなるだろう。

3テストマーケティングの手段にもなる

テストマーケティングの手段になる点もメリットの一つだ。先述した通りクラウドファンディングでは資金を調達するために行いたいプロジェクトの概要や開発したい製品・サービスの概要を公表する。公開した後のお金の集まり具合やSNSでの話題性を見ることでテストマーケティング(商品・サービスにニーズがあるのか?)を行える。

例えばSNSで話題になれば「サービスや商品にニーズがある」と判断できるだろう。反対にほとんどお金が集まらなかったり話題にならなかったりした場合、いざ本格的に事業を行ってもヒットしない可能性が高い。一般的なテストマーケティングと比べてより低コストかつ少ない労力で行える点もクラウドファンディングに特有のメリットと言えるだろう。

クラウドファンディングの3つのデメリット

メリットがある一方でクラウドファンディングにはいくつかのデメリット(注意点)がある。クラウドファンディングで資金調達する際には、以下に挙げた3つのデメリットに注意してほしい。

・ビジネスモデルやアイディアを盗まれるリスクがある
・目標としていた金額を調達できない場合もある
・資金を得るまでに時間がかかる

1ビジネスモデルやアイディアを盗まれるリスクがある

自社のビジネスモデルや商品・サービスをインターネット上に公開するため、ビジネスモデルやアイディア・技術などを盗まれるリスクがある。例えば目標金額に到達せず自己資金で地道に公開していたビジネスを行うとしよう。公開していたアイディアを資金力のある第三者に模倣され自身ではそのアイディアで十分な利益を得られなくなる可能性も考えられる。

幅広い人に情報を公開する以上、こうしたリスクがある点は十分覚悟したうえでクラウドファンディングを活用しなくてはならない。場合によっては、事前に特許権や商標権などの知的財産権を取得し他者からの模倣を困難としたうえで資金調達することも有効だろう。

2目標としていた金額を調達できない場合もある

金融機関や投資家から資金を調達する場合、基本的には欲しい金額を事前に提示し賛同してもらえれば希望金額の全額を受け取ることが可能だ。一方でクラウドファンディングは、たくさんの人から少しずつ資金を集める方法である。そのため募集をしたからといっても目標にしていた金額を調達できるとは限らない。

All in方式であれば集まった金額を受け取れる。しかしAll or Nothing方式の場合は1円たりとも受け取ることができない。そのため目標金額を受け取れずに事業計画が頓挫する可能性がある。確実にビジネスを前に進めていきたいならば他の資金調達方法も併用するのが良いだろう。

3資金を得るまでに時間がかかる

資金を得るまでに時間がかかる点もクラウドファンディングの持つデメリットの一つである。まずプロジェクトをはじめるために募集文の作成などに1~2週間前後の時間がかかるだろう。加えて必要な資金を調達するまでには、大体1ヵ月前後の期間が必要となる。ようやく資金が集まってもすぐには入金されないため、合計で2~3ヵ月ほどの期間はかかってしまう。

すぐに資金を調達したい場合は、ビジネスローンやファクタリングといった資金調達の手法をあわせて検討すると良いだろう。

クラウドファンディングの種類

一口にクラウドファンディングといってもその種類はさまざまである。この章では、クラウドファンディングの主な種類を5つ解説していく。

・購入型
・寄付型
・株式投資型
・融資型(ソーシャルレンディング)
・ファンド型

1購入型

購入型とは、支援者へのリターンとして商品やサービス、特典を受け取る権利などを与える形で行うクラウドファンディングだ。商品・サービスを購入してもらうのと同義であることから「購入型」と呼ばれている。商品やサービスが見込み客のニーズに沿っていれば比較的資金を調達しやすくなる点が最大のメリットだ。

2寄付型

寄付型とは、支援者に寄付してもらう形で実施するクラウドファンディングである。あくまで寄付であるため、調達する側はリターンを一切提供する必要はない。ただし寄付という仕組み上、災害支援や環境保護など社会全体の利益となるプロジェクトでないと資金を集めにくい傾向だ。反対に社会貢献性の高い事業を行いたい場合には、最適な資金調達方法となるだろう。

3株式投資型

株式投資型とは、リターンとして自社株式や新株予約権を支援者に発行する形で行うクラウドファンディングである。返済義務や商品などのリターンを必要としない点や将来性が高い企業であれば資金調達しやすい点がメリットだ。今後株式上場が見込めないビジネスや企業の場合、株式投資型では十分な支援を得られない可能性が高いので注意が必要である。

また議決権のついた株式を第三者に渡すことで経営陣の保有する議決権割合が低下し意思決定に支障をきたす点もリスクの一つだ。

4融資型(ソーシャルレンディング)

融資型とは、不特定多数の人から「融資」の形態で資金を集めるクラウドファンディングである。あくまで資金を借りる方法であるため、元本の返済や利息の支払いが必要だ。そのため返済や利息の支払いで資金繰りが悪化するリスクには十分注意したい。なお融資型クラウドファンディングは、「貸付型クラウドファンディング」「ソーシャルレンディング」などとも呼ばれる。

5ファンド型

ファンド型とは、特定のビジネスに対して資金の出資を募るクラウドファンディングである。支援者には、対価として利益の一部や商品・サービスを受け取ることが可能だ。投資家が直接資金を集めている企業に投資するのではなく匿名組合(クラウドファンディング事業者)に対して資金を投資する点が他のクラウドファンディングとは大きく異なる。

投資家が出資した資金は、匿名組合を通じて特定のビジネスを行う事業者に行きわたる仕組みだ。

スタートアップ企業でもクラウドファンディングなら資金調達が期待できる

アイディアなどを盗まれるリスクこそあるものの、クラウドファンディングには多大なメリットがある。特に実績の浅いベンチャー企業やスタートアップ企業にとっては、使い勝手の良い資金調達手法の一つだ。上場や大規模な事業の拡大を目指す経営者は、クラウドファンディングを積極的に活用するのが良いだろう。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)