個人名義のクレジットカードと同様に、事業を営んでいる場合、法人名義や法人口座でカードを作ることも可能だ。仕事上の支払いは、法人名義のカードで済ませたほうが様々な面で利便性が高い。

しかし、個人カードを作る際に、年収や勤務先などが審査されるように、法人カードにも審査があり、そのハードルをクリアする必要がある。今回は法人カードの審査基準はどのようになっているのか見ていこう。

目次

  1. 審査なしの法人カードはある?
    1. なぜ審査が必要?
  2. 審査の通過基準とは?
    1. 設立してどのくらい経つか
    2. 財務状況に問題はないか
    3. 代表者が信用できる人物か否か
  3. 審査の前に知っておきたいこと
    1. 固定電話番号を作る
    2. オフィスの住所を明確にする
    3. ホームページを作る
    4. クレジットカードヒストリーを確認する
  4. あなたが持ちやすい法人カードは
    1. 代表者個人を審査するカード
    2. スタートアップ向けの法人カードも
  5. 法人カードはキャッシュレス社会の必需品

審査なしの法人カードはある?

審査なしの法人カードは存在する?審査の必要性とその対策について
(画像=thinkthink/stock.adobe.com)

経費を節約やスピーディな決済が可能になる法人カードは、経営者ならぜひ持っておきたいものの一つだろう。法人カードには、名義は個人(社長や役員)で、引き落とし口座が法人口座というものもある。その場合、決済時のサインでは、名義の個人(社長名など)名を署名し、本人が利用することになる。

しかしながら、結論から言うと、審査なしの法人カードは存在しない。やはり個人が持つクレジットカードと同様、法人カードにおいても審査がないことはあり得ないのだ。むしろ法人カードは、個人カードよりも審査が厳しい傾向にあるとされているため、下記内容をしっかり理解して事前に対策をとると良い。

※本記事は、あくまで参考情報です。審査基準は、カード会社ごとに異なります。

なぜ審査が必要?

なぜカード発行にあたって審査が必要なのか。それは、カードの利用者に返済能力があるかを確認しなければならないからだ。クレジットカードは「信用」によって、カード会社が先に立て替えて支払いを実行し、後からそれを利用者から回収するシステムで運用されている。

個人の場合は、その人の属性(職業や勤続年数)によって、ある程度の返済能力を確認できるが、法人の場合は、その会社が本当に利益を上げており、そこからカード払い分を返済できるかを審査することになる。

一般的に法人カードの利用限度額は個人カードと比べて多い傾向にあり、返済できないときのリスクがより高くなるため、個人カードよりも審査が念入りになるのだ。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

審査の通過基準とは?

法人カードの審査の基準はどのようなものなのだろうか。個人カードと比べて、どのような相違点があるのか、以下でみていきたい。

設立してどのくらい経つか

法人を設立して日が浅いと、カードの審査が厳しくなる傾向にある。審査を通しやすくするためには、3年以上の経営が望ましいといわれることもあり、決算書や確定申告書などのいわゆる「通知票」でいい実績を上げておきたい。

法人を設立して年数が経っていれば、創業後の荒波を潜り抜けてきた優良企業である可能性が高く、しっかり毎月の返済をしてくれることが期待できる。また、経営が継続できているということは、融資の借入返済もしっかり行っているはずなので、そのような企業であれば法人カードを発行しても問題がないといえるだろう。

もちろん、3年以上経営していれば、審査が通るというわけではない。一般的な目安として参考にするとよいだろう。

財務状況に問題はないか

もちろん財務状況は、審査の最重要ポイントだ。借入超過していないか、経営は黒字か、資産を持っているのかなどがクリアできないとカード発行が難しくなる。

赤字が続いていれば、当然、返済能力に疑問を持たれる。財務状況を判断するために、法人カードを申し込む際は、売上高を記載する場合が多い。

しかし節税対策のため、あえて経費を使っている会社もあり得るため、赤字経営だからといって、審査が絶対に通らないわけではない。赤字であっても売上が高かったり、資本金が多かったりすれば、通る可能性はゼロではないだろう。

以下は、経営の中身が問われる項目だ。

代表者が信用できる人物か否か

法人カードの審査において、代表者(社長など)が信用できる人物かどうかも重要だ。法人カードの場合も、信用情報機関で申込者のクレジットヒストリーをチェックする。法人の場合、万が一経営者がカードを使いこんで返済できずに会社が倒産したり、あるいは経営者がそのまま逃亡してしまったりすると、影響を受ける人の数は個人とは比較にならないほど大きいためカード会社も慎重に審査する経営者は個人でのカードの利用で問題が発生しないよう、日頃から注意しておきたい。

審査の前に知っておきたいこと

カード審査に落ちないためには、経営者は、会社情報を正しく登録したうえで、誠実な態度でしっかりと会社の利益を上げるように努めることが何よりも大切だ。法人カードの審査でプラスに評価されるといわれることがある項目を、下記で紹介していきたい。

固定電話番号を作る

会社の番号は携帯電話ではなく、固定電話にするのがよいだろう。「03-〇〇〇〇-△△△△」と「090-〇〇〇〇-△△△△」ではカード会社が抱く印象が異なる。

携帯電話で審査を受けると、悪質業者、悪徳業者の可能性があるかもしれないとカード会社に思わせるかもしれない。

固定電話を引くということは、契約した建物に電話回線を引き、通信会社などと契約しなければならないため、信用のある会社と見られがちだ。そのため、IP電話でもよいが、固定電話を引くのがベターと考えられやすい。

オフィスの住所を明確にする

当たり前と思われるかもしれないが、オフィスの住所を明確にすることも重要だ。法人の場合は登記すればいいが、自宅兼事務所だと営業実態がつかめない可能性がある。実際に店舗があり、そこでの営業実態があれば事業イメージを持ちやすいことは想像に難くない。

ホームページを作る

ホームページの有無は審査に影響するかもしれない。ホームページがあるということは、世界に向けて自社の事業内容や代表者、連絡先、所在地等を公開していることになるからだ。

法人カード作成に当たっては、法人登記簿謄本を提出することもあるが、それが任意の場合、ホームページによって、個人事業主(実質法人規模)も含め営業実態を外部に周知できる。そのような意味でも、ホームページがあるとメリットになりえる。

クレジットカードヒストリーを確認する

クレジットカードヒストリーを事前に確認し、自分が金融ブラック(返済や借入に問題がある)かどうかを確認する方法もある。

クレジットカードヒストリーはCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つの国内信用情報機関のいずれかに登録されている。情報開示の方法は、CICはインターネット・郵送・窓口、JICCはスマートフォンアプリ・郵送・窓口、全国銀行個人信用情報センターは郵送で対応している。また、それぞれに手数料がかかる。

法人カードを初めて作る場合は、ヒストリー(履歴)もないが、過去に法人カードの作成履歴があり、新しく別のカードを作る場合などは、既存のクレジットカードヒストリーが影響することもある。

また代表者等個人のクレジットカードヒストリーに問題がある場合も、カード会社の照会で審査に通らない可能性がある。返済遅延や自己破産をした人が代表者の会社に法人カードは発行しづらい。

自身のヒストリーを見るには、作りたい法人カードの運営会社が加盟する信用情報機関に、身分証明書など必要書類をそろえて開示請求をすることが必要だ。法人の場合はそれに加えて法人登記簿謄本などで請求できる。

ここで開示されたクレジットカードヒストリーに身に覚えがない返済遅延などが記載されていた場合は、クレジットカード会社に調査、訂正を依頼できる。何かの手違いでクレジットカードヒストリーが良くないということもあり得る。 特に、過去にも事業を行っていた経営者・起業家の方は、過去情報がどのように登録されているか一度確認しておいて損はないだろう。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

あなたが持ちやすい法人カードは

個人のクレジットカードでも審査に通りやすいカードと、審査が厳しくなかなか所有できないカードがあるように、法人カードも同様に審査に特徴がある。それぞれの特徴を理解したうえで、自分が持ちやすいカードに申し込むのが良いだろう。ここでは、特徴的な審査の例を紹介する。

代表者個人を審査するカード

法人カードには、会社(法人格)を審査する「法人与信型カード」と、代表者(個人)を審査する「個人与信型カード」がある。 前者は過去数年分の決算書や法人登記簿の提出を求められることが多いが、後者はその限りでない。個人事業主の方は、個人与信型カードのほうが持ちやすい場合もある。

スタートアップ向けの法人カードも

開業したばかりで実績がなく、決算書などもない「スタートアップ」企業向けの法人カードもある。業績や実績がなければ、従来の基準では審査が通らないが、事業の将来を評価して、法人カードを付与してくれるカード会社もある。

スタートアップ向けのカードとしては、

  • 三井住友ビジネスクラシック(一般)カード
  • セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
  • オリコビジネスカードGold などがある。開業間もない法人でも、将来性を評価し審査を行ってくれるはずだ。

法人カードはキャッシュレス社会の必需品

法人としてビジネスを展開していく上では、クレジットカードカード決済はもはや不可欠なものとなりつつある。口座引き落としや銀行振り込み、代金引換などは手間がかかるが、法人カードを作っておくことで、迅速なキャッシュレス決済が可能になるだろう。

確かに実績がないとカードを作りにくいのも事実だが、最近はスタートアップ向けのカードも増えてきており、自分や自社にあったカードを選ぶことが大事である。

今後キャッシュレス決済、オンライン決済は、ビジネスにおいても当たり前のものとして展開されていき、これから口座振替や銀行振り込みが受け付けられないケースも増えてくるだろう。審査なしのカードはないが、企業の代表として1つでも法人カードを作っておくことは検討してほしい。

文・松田謙太郎(ダリコーポレーション ライター)