新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、私たちの生活だけでなく企業活動にも大きな影響を与えている。感染拡大を防止するためには、混雑を避ける時差出勤や頻繁に消毒を行うなどの対策もあるが、オフィスに出社せずに働くテレワークの導入も急速に進んでいる。テレワークは他の感染症対策と違い、感染拡大防止以外にもさまざまなメリットがあるためだ。今回は、テレワークの導入前に知っておきたい概要やそのメリット、デメリットについて確認していこう。
目次
テレワークとは?

テレワークとは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」を組み合わせた造語で、ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を表す言葉だ。新型コロナウィルス感染症の拡大で、急に注目を集めたように思われがちなテレワークだが、実は以前から国が主導し導入推進が行われている。2007年、厚生労働省はテレワーク推進に関する関係省庁連絡会議で「テレワーク人口倍増アクションプラン」を策定している。その背景にあるのは、進行する日本の生産年齢人口(労働人口)の減少である。
2017年の日本の生産年齢人口(15歳から64歳)は、7,596万人だ。この生産年齢人口が、2040年には5,978万人になると試算されている。23年間で約21%の減少となってしまうのだが、一番の原因は出生率の低下と高齢化による離職である。2018年の死亡者数137万人に対して出生数は92万人となる。生産年齢人口の減少と言うより、日本は全体の人口が急速に減っていく状況なのだ。
人口及び生産年齢人口の減少は、そのまま国力の減少につながる。このような理由から、出生率の改善対策と共に生産年齢人口減少の歯止め策として「テレワーク人口倍増アクションプラン」が策定された。このアクションプランでは、「2020年までにテレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」という目標が設定されている。
テレワークの3つの形態
テレワークの形態は、「在宅勤務型」、「モバイルワーク型」、「施設利用型」の3つに大きく分かれる。すべてに共通するのは、パソコンやネットワークなどの情報通信技術(ICT)を利用することで、データや個人情報保護のために、セキュリティを確保したテレワークシステムが必須になる。
1.在宅勤務型
自宅にパソコンなどのIT機器とネットワークを用意し、テレワークを行う形態だ。テレワークというと、この形態を思い浮かべる人が一番多いのではないだろうか。
2.モバイルワーク型
顧客先、移動中、またはカフェなどの場合もあるが、一定の場所ではなく携帯のネットワークなど、モバイル環境を利用して仕事を行う形態である。
3.施設利用型
サテライト型とも呼ばれる形態だ。本社に出社して勤務するのではなく、レンタルオフィスや数社が利用する共同サテライト、会社が用意した専用サテライトなどに出社してテレワークを行う。都心に本社を置く企業が、郊外にサテライトオフィスを設置しテレワークを行うことも多いようだ。
テレワークの導入に関する4つのメリット
冒頭でも述べたように、テレワークは対症療法的な感染症対策ではない。感染拡大防止以外にもさまざまなメリットがある。
1.オフィスコストの削減
テレワークの定着によって出社する人数を減らすことができれば、オフィスのスペースを削減できる。たとえば普段から勤務スペースが足りずに、本社の近くにオフィスを借りているような状態であったなら、人員配置を変えてテレワーク可能な人のスペースを削減し、オフィス自体を減らすことも可能になる。また都心に借りていたオフィスの一部を郊外に移し、賃料の安いサテライトオフィスを設置することでコストダウンもできるだろう。
テレワークを全社的に導入した企業の中には、週に一回レンタルオフィスを借りてミーティングを行うことでコミュニケーションを確保し、都心のオフィスを全廃した例もある。他にも机やイス、電話などの備品を削減でき、通勤費も支給しなくて良いので効率的なコストダウンにつながるだろう。
2.人材の確保と生産性の向上
子育てや介護といった、家庭の事情でやむを得ず離職する人はかなりの数に上る。在宅でのテレワークが可能になると、このような人材を確保でき離職率の低下につながる。先述した「テレワーク人口倍増アクションプラン」の中でも、在宅勤務は生産年齢人口の減少をくい止める効果的な対策として挙げられている。
また、通勤時間の削減は生産性向上にもつながっている。有効に使える勤務時間が増え、集中力も上がる傾向にあることから、研究開発部門などでは積極的にテレワークを導入しているようだ。
3.災害時にも迅速に対応可能
今回の新型コロナウィルス感染症の感染拡大で、一番注目された効果が災害時に強いというテレワークの特徴だろう。このような大規模な災害だけでなく、大雨や台風、積雪、交通機関のトラブルなど、出社に支障を来す災害は常に起こる可能性がある。テレワークなら、このような災害時にも迅速に対応が可能だ。
4.ワークライフ・バランスの実現
ワークライフ・バランスとは、「仕事と生活の調和」を表す言葉だ。たとえば毎日残業が多く、帰宅時間が深夜になるような働き方を続けることは、心身のバランスを崩すことにもなりかねない。このような働き方は結果として生産性の低下を招き、最悪の場合には離職してしまう可能性もあるのだ。
テレワークはICTを活用し、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現する。柔軟な働き方は時間的な余裕を生み、結果としてストレスのない労働環境の実現につながるのだ。
テレワークの導入に関する5つのデメリット
会社と社員、双方にメリットの多いテレワークですがデメリットもある。重要なことはデメリットを前もって把握し、手遅れにならないよう事前に対策を行うことである。
1.セキュリティの危険性
自宅であれサテライトであれ、社外にデータを持ち出すことになるのがテレワークである。仮に決められたサーバーにアクセスして作業するような環境であっても、ネットワーク上ではデータのやり取りが行われる。顧客の個人情報やデータの持ち出しに関する社内的な決まりを作るのはもちろん、システム的にもVPN(Virtual Private Network 仮想の専用線)を構築するなどして、データの漏洩を防ぐ事前の対策が必要だ。
2.長時間労働の危険性
管理者のいない環境で作業することの多いテレワークでは、意識せずに長時間労働をしてしまう危険がある。長時間労働は心身のバランスを崩してしまうことになる可能性があり、また在宅勤務だからといって昼夜が逆転したような労働になってしまうことも好ましくない。単身者が陥りやすいこのような状況は、労働の開始時間や終了時間を、管理者が本社で一元管理するなどの対策が必要だ。
3.コミュニケーションの欠如
一人で作業することの多いテレワークでは、管理者や社員間のコミュニケーションが不足しがちになる。たとえば作業でわからないことがある場合や、トラブルがあった場合にすぐ相談できる環境がないと、対策が遅れ結果として効率が下がってしまうことも考えられる。これを防ぐには、定期的に(たとえば週に一回)本社に出社してリアルなミーティングを開催する、もしくはZoomやSkypeといったチャットツールを利用しコミュニケーションを欠かさないことが効果的だ。
4.「サボり」への対処
管理者のいない環境で作業させるということは、社員が常に集中した状態かどうかを判断し難い状況ともいえる。あまり疑いたくはないが、いわゆる「サボり」への対策も場合によっては必要になる。ソコンのON/OFFを管理するツールの導入や、日報の提出励行、成果目標を明確にするなど、行き過ぎない管理の方法が必要だ。
5.テレワーク環境の整備
テレワークは現在大手企業を中心に導入が進んでおり、中小企業では導入が遅れているというデータがある。その要因は、IT管理者の不足とテレワーク環境を整備するためのコスト負担だと言われている。
テレワークで個人のパソコンを使うことはセキュリティ上望ましくないので、基本的には会社のセキュリティ基準を満たしたIT機材を貸与することになる。他にも、会社のネットワークに安全にログインするためのファイアウォールの整備や、サーバーのセキュリティ強化など、テレワークには相応のコストがかかる。
またハードウェアやソフトウェアの整備だけでなく、テレワークをする場合の規程類(就業規則の改訂や労使協定を含む)の整備、データの扱いなどセキュリティに関わる教育もあらかじめ行っておく必要がある。
テレワークの助成金
中小企業でテレワークの導入が遅れている要因は、IT管理者の不足とテレワーク環境を整備するためのコストだと書いたが、厚生労働省では「働き方改革推進支援助成金制度(テレワークコース)」を用意し、中小企業のテレワーク導入を支援している。
この制度は、テレワークへの取り組みとして以下のいずれかを実施した企業(テレワークを新規に導入、もしくは継続して活用する事業主)に対して、助成金が支給されるものだ。
○テレワーク用通信機器(条件あり)の導入・運用
○就業規則・労使協定等の作成・変更
○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
いずれもあらかじめ「成果目標」を設定し、評価期間を経た後、成果の達成/未達成に応じて助成金が支払われる。成果目標を達成した場合には、かかった費用の75%が補助され、上限は一人あたりで40万円、一企業あたりの上限が300万円となっている。
むやみに導入を急がず、前もって十分な検討を
正しく運用すれば労使双方にメリットの多いテレワークだが、一方では不公平感の生じやすい制度だとも言われている。社員間で無用な不満などが生じないように、実施前には社内への丁寧な説明が必要である。決して導入を焦ることなく、問題点を明らかにし必要な対策を打ってから導入を進めていこう。
テレワークのオフィス選びに迷っている?「WeWork」の利用も検討してみよう
テレワークでサテライトオフィスやレンタルオフィスを検討している人はシェアオフィス・コワーキングスペースの「WeWork」を検討してみるのもいいだろう。「WeWork」は世界800ヶ所以上でシェアオフィス・コワーキングスペースを展開する企業だ。日本国内にも30以上の拠点を有しており、洗練されたオフィス空間や生産性を高めてくれる各種のサービスが魅力だ。
WeWork は原則として、月額賃料を払って利用するコワーキングスペースで、短時間のスポットでの利用はできない。しかし、以下のクレジットカードを保有していれば、期間限定で特別優待が受けられる。
・セゾンプラチナ・アメリカンエキスプレス(R)・カード
・セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
・セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
【特典① ホットデスク・専用デスクが最大50%OFF】 期間:7月1日(水)〜12月31日(木) ※2020年12月31日(木)お申込み完了まで |
詳しくは、以下のリンクからキャンペーン内容を確認してほしい。
>>セゾン・アメリカン・エキスプレス(R)・カード入会サイト(キャンペーン情報)
これまで「WeWork」は気になっていたが利用できなかったという人は、この機会に試してみるのはいかがだろうか。
文・長田小猛(ダリコーポレーション ライター)