「営業力を高めるにはどうすればいいのか」と悩んでいる経営者も多いのではないだろうか。営業力を高めるためには、組織づくりやシステムの導入などさまざまな方法がある。その一つとして、営業成績がいい人の行動特性を知り、それを活用することもあげられる。この記事では、営業成績がいいセールスパーソンの6つの特徴、および6つの行動様式を紹介しよう。
目次
営業成績がトップレベルのセールスパーソンの特徴

それでは最初に、営業成績がトップレベルのセールスパーソンの6つの特徴を見ていきたい。
常に数値目標を意識している
営業成績がトップレベルのセールスパーソンの第一の特徴として、常に数値目標をもって営業活動をしていることがあげられる。営業部門は、部門としての売上目標が設定され、そこからセールスパーソン一人ひとりの目標設定もされることが一般的なため、これは当たり前のように思えるかも知れない。
しかし、セールスパーソンの中には数値と向き合えず、目標の達成を諦めてしまっている人もいるかもしれない。それでは営業成績を高めることができないのはいうまでもないだろう。
数値と向き合い、目標の達成を強く心に決めていること、さらには目標に対する達成度から、自分の行動を修正していけることが、営業成績がトップレベルのセールスパーソンの最大の特徴だといえる。
打たれ強く謙虚
営業成績がトップレベルのセールスパーソンの特徴として次にあげられるのは、打たれ強く謙虚であることだろう。どんな事態に直面しても常に冷静さを保ち、柔軟に対応できることは、顧客からの信頼を得ることにつながる。
また、謙虚であるということは、人の評価を気にしすぎないということでもある。失敗を恐れることなく、果敢なチャレンジをできる人材といえるだろう。また、たとえ顧客から拒絶されたり失敗したりした場合でも、それでくじけることなくすぐに立ち直りやすいタイプだ。
営業活動で大切なのは、単に顧客から好かれることではない。本質的なのは目標の達成であると、営業成績がトップレベルのセールスパーソンはわかっているだろう。
身だしなみが整っており礼儀正しい
身だしなみを整っていて礼儀正しいことも、営業成績がトップレベルのセールスパーソンの基本だ。顧客との商談に第一印象が重要なのはいうまでもない。身だしなみと礼儀作法は、第一印象を大きく決めることになるからだ。
身だしなみで特に重要なのは清潔感だろう。ヘアスタイルからスーツ、靴、ワイシャツ、ネクタイ、指の先まで、神経を行き届かせていることが必要だ。
また、礼儀正しさは、顧客に対する敬意を示すのとともに、セールスパーソン自身の品格をも表すことになる。しっかりとした礼儀作法を身に着けたセールスパーソンは、顧客を魅了することすらあるだろう。
自分が取り扱うサービスや製品に愛着を持っている
営業成績がトップレベルのセールスパーソンは、自分が扱うサービスや商品が好きなことも特徴だ。営業成績が振るわないセールスパーソンほど、成績をサービスや商品のせいにする傾向がある。
どんなサービスや商品でも欠点はもちろんある。しかし、その欠点をあげつらっても、セールスパーソンにとって何の得にもならない。欠点があったとしても、その欠点を大きく凌駕する長所に目をつけ、そこに自分が心から共感するからこそ顧客の心を動かせるのだ。
営業成績がトップレベルのセールスパーソンはどんなサービスや商品でも、「この素晴らしいサービス・商品をお客様のために売ってあげる」という心持ちでいるものなのだ。
人間関係の構築に長けている
営業成績がトップレベルのセールスパーソンは、人間関係の形成がうまい。初対面の顧客でも、会話のきっかけをうまくつかみ、相手の心を開くことができるタイプの人が多いだろう。人間関係の形成法にはさまざまなテクニックがあるため、営業成績がトップレベルのセールスパーソンがそれらをしっかりと学んでいるのは想像に難くない。
しかし、人間関係はただテクニックだけで作れるものではない。営業成績がトップレベルのセールスパーソンの多くは、顧客とのコミュニケーションを心から楽しんでいることが多い。自然体を保ち、自分の言葉でしゃべり、気持ちを素直に伝えるからこそ、顧客も心を開いてくれるというわけだ。
簡単に諦めない
商談が上手くいかなくとも、諦めずに粘り強くアプローチができることも、営業成績がトップレベルのセールスパーソンの特徴だといえる。一般に、1回のフォローアップで取引は成立しない。多くのケースで、取引を成立させるためには複数回のフォローアップを、粘り強く行うことが必要だ。
ただし、粘り強いことと、押しが強い、あるいはしつこいこととは異なる。フォローアップを継続することにより顧客が嫌がるようになってしまっては、元も子もない。
複数回のフォローアップをするためには、切り口が同じままでは困難なケースも多くある。顧客の要望や育成段階に応じ、切り口を変化させる臨機応変さも求められることになるだろう。一度断られても、その後顧客にとってのニーズが出てくる場合もある。トップレベルのセールスパーソンは長期戦を見据えているのだ。
営業成績がいい人の顧客との向き合い方
次に、営業成績がいい人が顧客に対してどのように向き合うのかを見ていきたい。
レスポンスが早い
営業成績がいい人は、顧客に対応する際のレスポンスが早い傾向にある。ある調査によれば、「ビジネスメールに対する返信をいつまでにほしいか」という質問に、約4割が「1日以内」と答えていたものの、「5分以内~4時間以内」という回答も3割以上に上った。「待ちたくない」と思う顧客は意外に多いといえるだろう。
したがって、レスポンスを早くするだけで、顧客の反応は良くなると考えられる。顧客が複数のセールスパーソンから似たような内容のレスポンスを受け取る際には、レスポンスが早ければ早いだけ、成約の可能性は高まるだろう。また、レスポンスを早めることで、顧客から信頼感や、やる気があり仕事ができるとの印象を得られることにもなるだろう。
自身の成績より顧客の要望を優先する
セールスパーソンはともすれば、自分の営業成績のためにセールスをしがちだ。しかし、それでは顧客は、セールスパーソンの下心を感じ取るため、取引成立は困難といえる。営業成績のよいセールスパーソンは、自分ではなく顧客の要望を満たすことを優先し、そこに真摯に取り組むからこそ顧客からの信頼が得られるのだ。
ただし、顧客の要望を満たすだけでは不十分なこともある。顧客の要望が、顧客の抱える課題に対する最適な解決とは限らないからだ。顧客の要望の背後にある課題を見抜き、その課題を真に解決できる「顧客の要望以上の提案」が必要となるケースも多く見られる。
顧客のニーズのヒアリングに長けている
顧客の話をきちんと聞いていることは、営業成績がいいセールスパーソンの必須条件だといえるだろう。顧客の話を聞くことは、顧客との人間関係を築くために欠かすことができないスキルだ。相手の話に真摯に耳を傾けるからこそ、相手は心を開く傾向にある。
それとともに、前述した顧客の要望に応えるためにも、顧客の話をきちんと聞くことは重要だ。特に、顧客に対して要望以上の提案をしようと思えば、質問などを加えながら顧客のニーズを深堀りすることが必要となるだろう。顧客が抱える課題が明らかになったところで初めて、その課題を解決できる自社の提案を行うことが大切だ。
営業成績がいい人の行動
では次に、営業成績がいい人はどのような行動を取るのかを見ていきたい。
業界全体への見識が広い
自社のサービスや商品についての知識を持っていることはセールスパーソンとして当然だ。しかし、営業成績がいい人は、自社に限らず、業界全体への見識を広げている。
インターネットが発展した近年、顧客の多くは、セールスパーソンに会う時点で競合他社のサービス・商品をネット上ですべて比較し、基本知識を持っている。その上で、セールスパーソンに対しては、実際に課題を解決していく上でのアドバイスやサポートを求めているのだ。
顧客が求める課題を真に解決するためには、場合によっては、競合他社のサービス・製品を取り入れることが望ましいケースもでてくるかも知れない。
現状に満足せずに学習を怠らない
営業成績がいい人の行動として、現状に満足せずに学習を怠らないことも特徴にあげられる。近年ではITの進化により、ビジネスのやり方は日進月歩で変化しており、少し前のやり方が、もう通用しないということもあります。
10年ほど前ならば、手当たりしだいに電話をかけ、出会った顧客を接待ゴルフで育成するなどの手法も通用したかも知れない。しかし、今ではもうそのようなやり方でビジネスをする人はほとんどいないだろう。
営業成績を上げるためには、変化するビジネス手法についての学習を怠らないことは非常に重要だ。また会社としても、セールスパーソンに教育やトレーニングをどのように行うか、考えていく必要があるだろう。
無闇に売り込むことはしない
無闇に売り込むことはしないのも、営業成績がいい人の行動の特徴だ。セールスパーソンは顧客と初対面でも、つい自社のサービス・商品を売り込みたくなってしまうものである。しかし、初対面でまだお互いを理解しないうちに販売意欲を出してしまえば、顧客が引いてしまうことになりがちだ。
セールスは、あくまでも「人と人」のあいだで行われる。初対面の場では、まず顧客を理解するのとともに、自分自身を売り込むことが必要となるだろう。
ただし、商談獲得が目的の異業種交流会に参加するなどの場合には、事前にピックアップした人に対する積極的な売り込みが必要となるケースもある。営業成績を上げるためには、臨機応変な対応も求められるのだ。
営業成績がいい人の行動特性を活用し、営業力を高めよう
営業成績がいいセールスパーソンには共通の行動特性がある。その特性を理解し、自社のセールスパーソンに対して活用することにより、営業力をアップすることが期待できる。今回ご紹介した行動特性のなかで思い当たるものがあれば、実際に試してみてはいかがだろうか。
文・高野俊一(ダリコーポレーション・ライター)