ストックオプションは種類によって税金の課税時期が異なり、注意が必要だ。損しないためにも、ストックオプションの税金について正しい知識を身につけておきたい。気になる人も多いだろう、節税の可否についても解説していく。

目次

  1. ストックオプションの種類と税金
    1. ストックオプションとは?
    2. 適格ストックオプションの課税の時期
    3. 非適格ストックオプションの課税の時期
    4. 有償ストックオプションの課税の時期
  2. 確定申告における取扱
    1. 非適格ストックオプションの課税の所得区分と取扱
  3. ストックオプションにおいて節税することはできる?
  4. ストックオプションの種類ごとの課税の違いを理解しよう

ストックオプションの種類と税金

ストックオプションの税金には注意!種類別の課税時期と節税方法
(画像=makibestphoto/stock.adobe.com)

ストックオプションについて、聞いたことがあるものの、そもそもストックオプションがどういうものなのかを理解している方は少ないと思う。そこでまずはストックオプションがどういうものなのか、どういう種類があるのかという点について解説する。

ストックオプションとは?

ストックオプションとは企業の株式を従業員等に付与する権利を与えるものを指す。このストックオプションを権利行使することで企業の株式を取得できる。

ただし各企業がストックオプションを権利行使するための条件を設定していることが一般的だ。主な条件としては、勤務条件、勤続年数、業績条件などがある。

通常、ストックオプションを権利行使した際に取得する株式の取得価額は、市場の株式価格より低く設定されている。ストックオプションを権利行使して取得した株式の取得価額と市場における株式の価格との差額がいわゆる、従業員等に対する報酬となっている。

ストックオプションは大きく分けて3つの種類がある。またこれらの種類に応じて課税される時期について解説していく。なお、適格ストックオプションと非適格ストックオプションは無償のストックオプションの分類となる。

適格ストックオプションの課税の時期

適格ストックオプションとは、主に次の要件に当てはまるストックオプションのことを指す。適格ストックオプションの要件は細かく多岐にわたるので、ここでは主な要件について挙げる。

1.会社法に沿って発行された新株予約権であり無償発行に限る
2.上場株式の場合発行済株式総数の10分の1超(非上場株式の場合は3分の1超)を超えた株式を保有する大口株主とその親族等でない
3.新株予約権の権利行使価額が年間1200万円を超えない
4.新株予約権の契約において次に掲げる要件が定められていること
(1)新株予約権等の行使は付与決議日から2年超10年以内に行うこと
(2)権利行使価額は、契約の締結時における額以上であること
(3)新株予約権は譲渡してはならないとされていること
(4)新株予約権の権利行使により取得した株式は、金融商品取引業者などの営業所等に保管の委託等がされていることである。

ここまでの要件を見れば、要件が厳しいということが分かるだろう。適格ストックオプションは行使時においては課税はなされず、新株予約権を行使して取得した株式を譲渡した時点において課税がなされる。

なお、次に説明する非適格ストックオプションと異なり、ストックオプションの権利行使を行って取得した株式の譲渡を行った場合に、譲渡所得として一括課税される。そのため課税の繰り延べという整理になり所得税の減免とはならない点について留意してほしい。

非適格ストックオプションの課税の時期

非適格ストックオプションとは、上記で述べた適格ストックオプションの条件に該当しないストックオプションである。

非適格ストックオプションは、行使して株式を取得した時点、およびその後行使において取得した株式を売却した時点のそれぞれで課税がなされる。

有償ストックオプションの課税の時期

有償ストックオプションとは上記で述べた適格ストックオプションおよび非適格ストックオプションとは異なり、企業が発行しているストックオプションを役員や従業員が当該ストックオプションの発行価額を支払うことにより取得するものをいう。

これはストックオプションの行使価格や、行使期間並びに好条件を踏まえて自主的に投資を行うか判断することとなる。当該ストックオプションは株価連動型や業績達成型などが一般的であり、これは企業の従業員等に対してインセンティブを与えることを目的として導入する企業が増えてきている。

有償ストックオプションは権利行使して取得した株式を売却するまでは、役員や従業員は当該ストックオプションの払い込みだけしかなく、経済的利益を受けていないことから課税されない。

そのため、権利行使して取得した株式を売却したときにはじめて経済的利益を受けるため、その時点において課税がなされる。なお、留意点は、新株予約権の公正価値より低い額で取得すれば経済的利益が発生し取得時に課税される点である。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

確定申告における取扱

ここでは、上記で説明した各種ストックオプションについて所得区分と取り扱いについて説明する。

適格ストックオプションの課税時期は、上記で説明した通りストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡するまでは非課税として取り扱われ課税がなされず、当該株式を譲渡した際に初めて課税がなされる。

この場合における所得区分は一般的に取得した株式を譲渡するのと同様であることから譲渡所得として取り扱われる。株式を譲渡した時点において譲渡所得として取り扱われ課税がなされることから、確定申告を行う必要があり、その際には、株式の売却時における添付書類に加え、新株予約権契約書の写しや、特定権利行使株式分がある場合の計算明細書を添付する必要があるので留意してほしい。

非適格ストックオプションの課税の所得区分と取扱

非適格ストックオプションは、権利行使時と権利行使により取得した株式を譲渡した時の2つの場合において課税がなされる。

まず、権利行使時において説明していく。権利行使を行った際には、権利行使時における株価と権利行使価格との差額において経済的利益を受けたと考えるため、当該差額について課税がなされる。

この場合における所得区分であるが、株式発行会社との間で雇用契約またはそれらに準じる関係に起因している場合には、給与所得として取り扱われる。また退職に起因してストックオプションを取得したと認められる場合には退職所得として取り扱われる。

これに加え、ストックオプションを付与されたものの営む業務に関連して当該権利を取得した場合と認められる場合には、事業所得または雑所得として取り扱われる。その他、いずれにも該当しない場合においては原則として雑所得として取り扱われる。

次に、権利行使を行って取得した株式を譲渡した場合においては、他と同様、譲渡所得として取り扱われるため、詳細説明は割愛する。非適格ストックオプションにおける論点は権利行使時における所得区分の取り扱いとなるため、慎重にどの所得区分に該当するか検討していただきたい。

有償ストックオプションは、権利行使により取得した株式を譲渡したときに課税され、当該所得区分は、譲渡所得として取り扱われる。

ストックオプションにおいて節税することはできる?

最後に、ここまで説明してきたストックオプションについて節税することが可能であるか説明していく。結論としては節税というより、所得区分による税金計算に着目することで税金を少なくできると考えられる。

例えば、適格ストックオプションと非適格ストックオプションの違いに着目してスキームを計画することである。具体的には、非適格ストックオプションは、権利行使により取得した株式を譲渡した際に譲渡所得として取り扱われるため、譲渡所得にかかる税率計算だけとなる。

一方、非適格ストックオプションにおいては、権利行使時点において課税され、所得の分類に応じて税金計算が行われ、権利行使後の取得株式の譲渡は適格ストックオプションと同様の取り扱いとなるため、権利行使時点においての所得区分によって、どちらが税金計算上有利になるかシミュレーションを行うことが挙げられる。

しかしながら、非適格ストックオプションの権利行使時における所得区分の判定については、判例事例も多くあることから慎重に検討する必要がある。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

ストックオプションの種類ごとの課税の違いを理解しよう

今回、ストックオプションの各種類に対する所得の取り扱いや課税時期について説明してきた。権利行使時までにおける課税の取り扱いはそれぞれのストックオプションの種類に応じて異なるため、適切に理解することが重要である。

共通点としては、権利行使により取得した株式を譲渡した場合においては、いずれも譲渡所得として取り扱う点である。またストックオプションの所得区分による税金計算を用いた税金額を圧縮することは可能性として考えられるが、相応のリスクもあるため留意いただきたい。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部

※記事中の法律・税制などに関する記載は2020年7月時点のものであり、現在は法律等が改正されている場合が考えられますのでご注意ください。