事業を大きく成長させるには、多額の運転資金や投資資金が必要である。多額の資金を調達する上で有効となる手段の一つが補助金の活用だ。今回の記事では、事業の成長に役立つ補助金を厳選して5つ紹介する。

目次

  1. 1:小規模事業者持続化補助金(一般型)
    1. 補助金額
    2. 補助対象経費
    3. 補助金の支給を受ける要件
    4. 応募期間
  2. 2:IT導入補助金(通常枠)
    1. 補助金額
    2. 補助対象経費
    3. 補助金の支給を受ける要件
    4. 応募期間
  3. 3:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)
    1. 補助金額
    2. 補助対象経費
    3. 補助金の支給を受ける要件
    4. 応募期間
  4. 4:創業助成事業
    1. 補助金額
    2. 補助対象経費
    3. 補助金の支給を受ける要件
    4. 応募期間
  5. 5:JAPANブランド育成支援等事業(特別枠)
    1. 補助金額
    2. 補助対象経費
    3. 補助金の支給を受ける要件
    4. 応募期間
  6. 資金繰りに補助金の有効活用を

1:小規模事業者持続化補助金(一般型)

【2020年最新版】事業の成長に役立つ補助金一覧!
(画像=Андрей Яланский/stock.adobe.com)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者(中小企業)が商工会議所(商工会)の助言に沿って経営計画を作成し、その計画に従って販路開拓を行った場合に費用の一部を補助するものだ。

補助金額

販路開拓に要した費用の3分の2が補助金として支給される。ただし補助金額には、最大で50万円という上限がある。

例えば、販路開拓に90万円の費用がかかった場合、その3分の2となる金額は60万円だ。しかし補助金額の上限は50万円であるため、この場合上限の50万円が支給される。

補助対象経費

この補助金を受給するには、販路開拓に費やす費用が下記費用(補助対象経費)のいずれかに該当する必要がある。

・機械装置等費
・広報費
・展示会等出展費
・旅費
・開発費
・資料購入費
・雑役務費
・借料
・専門家謝金
・専門家旅費
・設備処分費
・委託費
・外注費

ただし、上記に該当しても、通常の事業活動に費やした費用は補助金の対象とはならない。

例えば、新規事業のためにWebサイトを作るのは問題ないが、単なる自社のPR目的でサイトを制作すると認められない可能性が高いため、注意が必要だ。あくまでも、新規事業や顧客開拓など販路を拡大する目的で用いる費用にのみ補助金を活用する仕組みとなっている。

補助金の支給を受ける要件

補助金の支給を受けるには以下の要件をすべて満たす必要がある。

・小規模事業者である
・商工会議所(または商工会)の助言に基づいて経営計画を策定する
・経営計画に基づいて販路開拓や業務効率化を行う
・他の補助金を受給していない
・1年以内に売り上げにつながる見込みがある

なお小規模事業者に関しては、業種によって条件が下記の通り異なる。

業種 常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

応募期間

小規模事業者持続化補助金(2020年度)の応募期間は以下の通りである。

・第1回受付締切:2020年3月31日
・第2回受付締切:2020年6月5日
・第3回受付締切:2020年10月2日
・第4回受付締切:2021年2月5日
 ※第1回、2回は受付終了(2020年7月29日時点)

参考:令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>

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2:IT導入補助金(通常枠)

IT導入補助金は、生産性を向上させるために所定のITツール(ソフトウェアやサービス)を導入した中小企業や小規模事業者に対して、導入費用の一部を補助する制度である。

補助金額

補助金額について知るには、まずは当該補助金の仕組みを理解する必要がある。通常枠は、ITツールにより導入できる業務プロセスの数によって、A類型とB類型の2つに大別される。業務プロセスには以下の6種類があり、1つ以上のプロセスを導入すればA類型、4つ以上の業務プロセスを導入すればB類型となる。

・顧客対応・販売支援
・決済・債権債務・資金回収管理
・調達・供給・在庫・物流
・業種固有プロセス
・会計・財務・資産・経営
・総務・人事・給与・労務・教育訓練

A類型の場合、ITツール導入費用のうち2分の1以内の金額が補助金として支給される。ただし補助金は30万~150万円未満という範囲内で支給されるため、最大でもらえるのは149万円となる。

B類型でも同様にITツール導入費用のうち2分の1以内の金額が補助金として支給される。ただし金額の範囲は150万~450万円となっており、A類型よりも大きな金額を受け取ることが可能だ。

補助対象経費

補助対象経費に関しては、ITツールの導入に要した費用となっており、厳格な要件は定められていない。

補助金の支給を受ける要件

IT導入補助金の支給を受けるには、主に以下の要件を満たす必要がある。

・国内で事業を行う中小・小規模事業者であり、大企業からの出資などを一定以上受けていない
・1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上の生産性向上を目標とした計画を作成する
・支給する給与の総額を年率平均で1.5%以上増加させる(B類型のみ)
・事業計画期間において、事業場内でもっとも低い賃金を「地域別最低賃金+30円以上」の水準に変更する(B類型のみ)
・事務局が認定したIT導入支援事業者が登録しているITツールを導入する

応募期間

IT導入補助金(2020年度)の応募期間は以下の通りである。

・第1次受付締切:2020年3月31日
・第2次受付締切:2020年5月29日
・第3次受付締切:2020年6月12日
・第4次受付締切:2020年6月26日
・第5次受付締切:2020年7月10日
・第6次受付締切:2020年7月31日
・第7次受付締切:2020年8月31日
※第1次〜7次は受付終了(2020年7月29日時点)

参考:IT導入補助金2020

3:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)は、中小企業が新サービスや試作品の開発・生産プロセスの改善を目的として行う設備投資について、費用の一部を補助する制度である。

補助金額

設備投資にかかった費用のうち、2分の1~4分の3が補助金として支給される。具体的には以下の通りだ。

・通常枠の場合
2分の1(小規模事業者は3分の2)

・特別枠(新型コロナウイルスの影響を受けている事業者)の場合
3分の2(A類型)、または4分の3(B類型・C類型)
ただし他の補助金と同様、補助金には原則1,000万円という上限が設定されている。また特別枠に限り、事業再開枠として50万円の上乗せができる。

補助対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)を受給するには、設備投資にかかる費用が下記費用(補助対象経費)のいずれかに該当しなくてはならない。

・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費(特別枠のみ)
・感染防止対策費(特別枠のみ)

補助金の支給を受ける要件

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)を受給するには、さまざまな要件を満たすことが必要だ。全てを紹介すると長くなるため、今回は重要な要件を抜粋して解説する。具体的な要件としては、主に以下の通りだ。

・交付決定日から10ヵ月以内の補助事業実施期間内に、発注や支払など全ての事業の手続きが完了する事業内容である
・「付加価値額年率平均3%以上増加」、「給与支給総額年率平均1.5%以上増加」、「事業場内でもっとも低い賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」という3要件を全て満たす事業計画を策定する
・上記の事業計画を従業員に表明する

応募期間

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(2020年度)の応募期間は、以下の通りである。

・第1次受付締切:2020年3月31日
・第2次受付締切:2020年5月20日
・第3次受付締切:2020年8月3日
・第4次受付締切:2020年11月ごろ
・第5次受付締切:2021年2月ごろ
※第1次、2次は受付終了(2020年7月29日時点)

参考:ものづくり補助金総合サイト

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4:創業助成事業

創業助成事業は、東京都内で創業予定の経営者、または創業して5年未満の経営者に対して、事業の成長に必要なあらゆる経費を補助する制度である。

補助金額

事業の成長に要した費用のうち、3分の2までが補助金として支給される。ただし支給額は300万円が上限だ。

補助対象経費

創業助成事業では、創業初期にかかる下記の費用を補助金の支給対象経費としている。

・広告費
・賃借料
・器具備品の購入費
・産業財産権の出願・導入費
・専門家の指導費
・従業員の人件費

補助金の支給を受ける要件

補助金の支給を受けるには、以下のいずれかの要件に該当する必要がある。

・TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者
・インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設に入居する者
・都内の公的創業支援施設に入居する者
・東京都および都内区市町村が行う創業を対象とした制度融資の利用者
・都内区市町村で認定特定創業支援等事業による支援を受けた者

いずれの要件をクリアするにも約2ヵ月以上の時間がかかるため、この補助金を受けたい人は早めに計画を立てておく必要があるだろう。

応募期間

創業助成事業の応募期間は、「2020年10月1日~10月9日」となっている。期間が短い上に応募要件を満たすまでに時間がかかるため、早めの準備が不可欠だ。

参考:創業助成事業 東京都

5:JAPANブランド育成支援等事業(特別枠)

JAPANブランド育成支援等事業は、全国展開や海外進出、インバウンド獲得を図る中小企業に対して製品・サービス開発や販路開拓、ブランディングなどにかかる費用の一部を補助する制度である。

補助金額

全国展開や海外進出にかかった費用のうち、3分の2が補助金として支給される。ただし補助金額の上限は500万円となっている。(複数の中小企業による共同申請の場合、1社ごとに上限の500万円を嵩上げし上限額は2,000万円。5社以上の連携であってもこの上限額は変わらない)

補助対象経費

JAPANブランド育成支援等事業では、以下の経費を補助対象としている。なお補助金を受給するには、当該経費が全国展開や海外進出に要した費用でなくてはならない。

・謝金
・旅費
・借損料
・通訳・翻訳費
・資料購入費
・通信運搬費
・会議費
・広報費
・委託費
・マーケティング調査費
・産業財産権等取得等費
・展示会等出展費
・雑役務費
・原材料等費
・機器・設備等費
・設計・デザイン費

補助金の支給を受ける要件

補助金の支給を受けるには、国内や海外市場で通用する製品やブランドの確立を目的とした市場調査や専門家の招聘、新商品・デザインの開発、展示会への出展などを行う必要がある。

なおクラウドファンディングやオンライン商談会など新しい商流に挑戦する取り組みの場合は、審査において加点される。

応募期間

JAPANブランド育成支援等事業の応募期間は、以下のように設定されている。なお、この補助金はほぼ毎年行われているため、万が一間に合わなかった場合は次年度にチャレンジすると良いだろう。

・第1ターム受付締切:2020年6月29日
・第2ターム受付締切:2020年7月22日
※こちらの受付は既に終了(2020年7月29日時点)

参考: JAPANブランド育成支援等事業

資金繰りに補助金の有効活用を

創業支援や海外進出の支援など、事業の成長に役立つ補助金は世の中に数多く存在する。こうした補助金を最大限活用できれば、資金繰りを悪化させずに効率的に事業を成長させられる可能性があるだろう。今後国内市場で大きく事業を拡大させたい経営者や海外市場への進出を検討している経営者は、ぜひ今回紹介した補助金を活用してみよう。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)