ベンチャー企業などの経営者の場合、会計処理を自分で行うケースもあるだろう。会計処理は、近年ではクラウド会計ソフトなどが進化したため、会計の知識がなくても税理士などを雇わず自分で行うことができる。ただしここで問題になるのは「勘定科目」だ。勘定科目は、会計ソフトが自動的に決めてはくれないため、最初は自分で決めなければならない。

そこでこの記事では、勘定科目の種類や一覧、注意点などについて徹底的に解説していく。

目次

  1. 勘定科目とは?
  2. 勘定科目の種類一覧
    1. 収益についての勘定科目
    2. 費用についての勘定科目
    3. 資産についての勘定科目
    4. 負債についての勘定科目
    5. 純資産についての勘定科目
  3. 勘定科目を選ぶ際の注意点
    1. できるだけ目的に応じた一般的なものを選ぶ
    2. 一度選んだ勘定科目は継続的に使用する
  4. 宿泊費やガソリン代はどの勘定科目?
    1. 宿泊費
    2. ガソリン代
  5. 勘定科目は慎重に決めよう

勘定科目とは?

勘定科目の種類は?一覧や注意点を徹底解説!
(画像=PIXTA)

勘定科目とは、収益と費用の発生、および資本と負債・純資産の増減についての会計上の性質を分かりやすく表した分類項目のことだ。勘定項目を使用することにより「お金がどのように入ってきたのか」「どのように出ていったのか」を確認することが容易になる。勘定科目を使用するメリットは、主に以下の3つだ。

  • 誰が記帳を行っても基本的に同じように分類ができる
  • 誰が帳簿を確認しても同じ理解が得られる
  • 入出金の内容が明確になるため経営判断にも役立つ

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勘定科目の種類一覧

勘定科目は収益、費用、資産、負債および純資産の5種類に分けることができる。各内容について以下で詳しく見ていこう。

収益についての勘定科目


勘定科目
意味・適用例
売上高 企業が商品を販売したりサービスを提供したりする対価として得たお金のこと
受取利息 普通預金や定期預金など銀行の預金利息や貸付金などについての利子や利息のこと
受取配当金 株式などの配当金や中間配当金、余剰金の分配金、および投資信託など収益の分配金のこと
雑収入 ・金額が少ない、あるいは会社の本業と関係がないなどの理由により独立した勘定科目を作るまでもない収益のこと
・税金の還付金や保険の配当金、祝儀金、損害賠償金、アフィリエイト収入、会社の敷地内においた自動販売機の設置料などに当てる
・現金の過不足を調整するために用いることもできる。

費用についての勘定科目


勘定科目
意味・適用例
仕入高 事業で販売するための商品や、商品を作るための原材料を仕入れるための費用のこと
期首商品棚卸高 ・前年度末の棚卸しにおいて残っていた商品を当期へ繰り越すための勘定科目
・前期の「期末商品棚卸高」がそのまま繰り越される
期末商品棚卸高 期末に残っている商品を翌年度に繰り越すための勘定科目
給料手当 従業員に対して支払う給与(基本給と各種手当)や現物給与などのこと
賞与 従業員に支払うボーナスのこと
役員報酬 ・取締役や監査役などの役員に対して支払う報酬のこと
・定款または株主総会の決議によって支払額が決められる
役員賞与 ・役員に支払うボーナスのこと
・原則として損金に算入されないが、事前確定届出給与とした場合には損金に算入することができる
雑給 アルバイトやパートなどに支払う給与(基本給と各種手当)のこと
法定福利費 従業員の健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料のうち会社が負担する分のこと
福利厚生費 ・役員や従業員の福祉向上を目的として支給される給与以外のお金のこと
・通勤費や慶弔見舞金、健康診断費用、社員旅行費用、レクリエーション費用、社宅・保養所の費用、残業時や宿直時の食事代、制服費用、社内の同好会への費用、育児や介護関連費用など
外注費 外部の会社や個人に対して自社業務の一部を委託する際の費用のこと
接待交際費 ・得意先など会社の関係者に対して接待・供応・慰安・贈答などを行う際の費用のこと
・損金に算入するためには制限が設けられている
会議費 ・得意先との商談や社内の会議などでの1人5,000円を超えない範囲の食事代などのこと
・原則として全額が損金に参入できる
消耗品費 事務用品や名刺、工具、机や椅子、ロッカー、ソフトウェアなどの費用うち価格が10万円未満のものこと
広告宣伝費 ・広告や宣伝のための費用のこと
・パンフレットやフライヤー、インターネット広告、広告目的で配布するカレンダーや手帳、タオルなど
荷造運賃 商品を送り届けるための梱包材料や資材の代金、配送費や運送費などの代金のこと
販売手数料 商品を販売したりサービスを提供したりするにあたって代理店などに支払った手数料のこと
水道光熱費 事業を行うために必要となった電気代、ガス代、および水道代のこと
賃借料 事業を行うために必要な土地や建物、駐車場、機械、車両、OA機器、イベント会場などを外部から借りるための費用のこと
新聞図書費 ・事業のための研究や調査などを目的として購入する新聞や書籍、雑誌などの代金のこと
通信費 ・事業のために必要となる通信のための費用のこと
・電話代やFAX代、インターネット接続料金、ハガキ・切手代など
車両費 ・事業のために必要となる車両を維持管理するための費用のこと
・ガソリン代や高速料金、車検代、車の修理費用、自動車保険料など
旅費交通費 ・役員や従業員が業務のために使用した旅費や交通費のこと
・電車・バス・タクシー代、航空機チケット代、自家用車で移動した際のガソリン代や高速代、宿泊費用、日当など
減価償却費 減価償却資産を減価償却するにあたっての費用
保険料 事業を行うにあたって契約した火災保険や生命保険、自動車保険などの保険料のこと
支払利息 借入金や社債などに対して支払う利息のこと
租税公課 事業に関して支払った固定資産税や不動産取得税、登録免許税、印紙代、および印鑑証明書や住民票の発行手数料、地方公共団体や同業者組合などに対する会費や組合費などのこと
法人税等 法人税と法人住民税、法人事業税のこと

資産についての勘定科目


勘定科目
意味・適用例
現金 現金として手元においてあるお金のこと
当座預金 当座預金に預けてあるお金のこと
普通預金 普通預金に預けてあるお金のこと
定期預金 定期預金に預けてあるお金のこと
受取手形 受け取った手形のこと
売掛金 掛け売りした金額のこと
商品 販売目的で外部から購入した商品のこと
立替金 立て替えをした場合の金額のこと
仮払金 交通費などを事前に仮に支払った金額のこと
建物 事業のために保有している事務所や工場・店舗などのこと
建物附属施設 建物に附属するエレベータや給排水設備、電気設備、ガス設備、空調設備、消火・排煙設備、内装工事費用などのこと
車両運搬具 営業用の車やバイク、トラック、フォークリフトなどのこと
土地 事業のために所有している土地のこと
工業所有権 会社で保有する特許権、実用新案権、意匠権、商標権のこと
ソフトウェア 事業のために使用するソフトウェアのうち20万円以上のもの
開業費 会社を設立してから実際に開業するまでに支払った費用のこと土地や建物の賃借料や広告宣伝費、消耗品費、交通費、通信費、水道光熱費、従業員の給料などが含まれる

負債についての勘定科目


勘定科目
意味・適用例
買掛金 掛け仕入れをした場合の金額のこと
支払手形 約束手形などのこと
未払金 クレジットカード払いなどをした際の金額などのこと
預り金 一時的に預かったお金のこと
短期借入金 1年以内に返済期限がくる借入金のこと
長期借入金 1年以後に返済期限がくる借入金のこと

純資産についての勘定科目


勘定科目
意味・適用例
資本金 法定資本金の額のこと
資本準備金 株主からの支払いのうち資本金の計上しなかったものの額のこと

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勘定科目を選ぶ際の注意点

勘定科目は法律で定められているものではない。したがって会社ごとに自由に選択することができ実際に会社ごとに勘定科目名は異なる場合がある。しかし勘定科目を選ぶ際には、以下の点に注意が必要だ。

  • できるだけ目的に応じた一般的な勘定科目を選ぶこと
  • 一度選んだ勘定科目は継続的に使用すること

できるだけ目的に応じた一般的なものを選ぶ

勘定科目を選ぶ際の注意点としてまず挙げられることは、できるだけ目的に応じた一般的なものを選ぶことである。なぜなら帳簿や決算書は社内の人だけが見るものではないからだ。株主や金融機関、取引先など社外の人が帳簿や決算書を見たときに理解しやすいものにするには、勘定科目はできるだけ広く使われている一般的なものが選ばれていることが望ましい。

一度選んだ勘定科目は継続的に使用する

一度選んだ勘定科目は年度を超えて継続的に使用することも重要だ。なぜなら年度ごとに勘定科目を変えてしまえば年度を超えた経営状態が把握できなくなるからである。ただしある年度において業務形態が大きく変わった場合など勘定科目を大きく変更しなければならなくなることはありえるだろう。

宿泊費やガソリン代はどの勘定科目?

勘定科目を決めるうえで迷いやすいものについて仕訳方法を見てみよう。

宿泊費

宿泊費は、目的により「旅費交通費」「接待交際費」「福利厚生費」のいずれかになる。役員や従業員が出張する際のものなら旅費交通費だ。またゴルフや旅行などで取引先の人を接待するためのものなら「接待交際費」が適当である。社員旅行などで従業員が泊まるためのものなら「福利厚生費」となるだろう。

ガソリン代

ガソリン代は「車両費」「旅費交通費」「消耗品費」のいずれかに仕訳できる。一般的な会社の場合は、ガソリン代を「車両費」に仕訳するのがよい。なぜなら車に関する費用を一元的に管理できるようになるからだ。一方車を使用する頻度が高い会社は、ガソリン代を車両費に入れてしまわず「旅費交通費」に仕訳するとガソリン代の使用状況が見やすくなる。

反対に車を使用する頻度が低い会社は「消耗品費」にガソリン代を仕訳することによりガソリン代のことをあまり気にしないで済むようになるだろう。

勘定科目は慎重に決めよう

勘定科目は収益と費用、および資産と負債・純資産の5種類に分類される。勘定科目のそれぞれは固有の意味を持っているのが特徴だ。しかし例えば宿泊費やガソリン代などは、前述の通り会社の状況に応じて異なった勘定科目のなかから選ぶことが必要なケースもある。そのため勘定科目は一度選んだら変更しないことが重要だ。どの勘定科目に仕訳するかは、よく考えて慎重に決めていこう。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)