マーケティングチャネルとは、商品やサービスが消費者に届けられるまでの流通経路に関係する組織(もしくは業者)のことだ。商品やサービスの特徴に適したチャネルを選択することにより、売上の向上につなげていく施策をマーケティングチャネル戦略ともいうが、近年インターネットやSNSの普及によりこの戦略は大きく変化している。今回は、インターネットの影響により多様化していくマーケティングチャネルについて解説していこう。

目次

  1. マーケティングチャネルとは?
    1. 商品やサービスをよりスムーズに、効果的に消費者へ届ける
    2. 消費者のもとへ届く経路を示す「流通チャネル」
    3. 商品を売る場所を示す「販売チャネル」
    4. 消費者に知ってもらうための「コミュニケーションチャネル」
  2. インターネットによりマーケティングチャネルは更に大きく変化
    1. SNSを利用したコミュニケーションチャネル
    2. ライブコマースなどにより販売チャネルも多様化
  3. オムニチャネルも注目を浴びるように
  4. STP分析や4Pと合わせてチャネルの最適化を
  5. マーケティングチャネルを見直し新たな戦略を

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マーケティングチャネルとは?

マーケティングチャネルとは?3つの種類と最新の活用法を紹介
(画像=Jacob Lund/stock.adobe.com)

まずはマーケティングチャネルについて、その概要を把握しておきたい。

商品やサービスをよりスムーズに、効果的に消費者へ届ける

冒頭で述べたとおり、マーケティングチャネルとは商品やサービスが消費者に届けられるまでの流通経路に関係する組織のことを表す。このチャネルは商品やサービスの特徴に合ったものを選ぶ必要があり、適切なチャネルを選んで運用することにより、商品やサービスはよりスムーズに消費者のもとに届くようになるのだ。言うまでもなくこれは売上の向上にもつながってくるので、チャネルの選択はとても重要である。マーケティングチャネルには、大きく3つの種類がある。

消費者のもとへ届く経路を示す「流通チャネル」

流通チャネルとは企業側から消費者側へと、商品やサービスが移動する経路や流通手段を表し、たとえば「卸売業者」や「物流業者」、「小売業者」などが流通チャネルに含まれる。

また流通チャネルは、「直接流通チャネル(直販)」と「間接流通チャネル」に分けて考えられる。

・直接流通チャネル

直販と略されることの多いチャネル。インターネットやテレビショッピングなど、メディアを介して企業(生産者)と消費者が直接取引をする形態が直接流通チャネルだ。企業の直営店や販売員による訪問販売なども直販に含まれる。

メリットは、企業と消費者が直接取引をすることによってコミュニケーションや配送が迅速に行えること、消費者にとっては間接的な流通コストがカットされることだ。また企業側も販売価格の設定を直販用に変えることにより利益率が上がるが、その反面、直営店の運営等で販売コストが上がってしまう場合があり、これがデメリットといえる。

・間接流通チャネル

企業と消費者の間に、卸売業者や小売業者が介在する流通チャネル。大量の商品を広範囲に販売する場合などは、企業と消費者が個別に取引を行うと流通コストの上昇を招く場合がある。たとえば海外への車の販売を考えたときに、個別に船便で車を運べば相応のコスト負担になるが、卸売業者が船を借り受け、一挙に大量の車を運べば流通コストは圧縮される。

また小売りに関しても、企業の直営店のみで商品を販売するより全国に店を展開する小売店で販売してもらう方が、多くの販売機会を得られることになる。間接流通チャネルは、流通業者を効率的に利用したい場合に選択する流通チャネルなのだ。

直接流通チャネルと間接流通チャネル、どちらも販売したい商品やサービスの特徴を考慮し、効率を考えて選択する必要がある。

商品を売る場所を示す「販売チャネル」

販売チャネルは、商品やサービスを実際に販売する場所を表す。たとえばスーパーやコンビニなどの実店舗、インターネット上のEC(electronic commerce 電子商取引)サイトがそれに相当するだろう。

マーケティングチャネルの選択は、どのチャネルを選べば消費者に商品やサービスが届きやすいかを観点に選択する。販売チャネルの選択は、商品が主婦層をターゲットとするならスーパー、ビジネスパーソンがターゲットであれば駅からの帰り道に必ずあるコンビニ、インターネット世代がターゲットならECサイト、という具合にターゲットの特性に合わせて選んでいくことが重要なのだ。

消費者に知ってもらうための「コミュニケーションチャネル」

コミュニケーションチャネルは、商品やサービスの情報を消費者に知らせる「情報伝達経路」を表す。テレビ、新聞、雑誌等の昔からあるマスメディアや、インターネット上のWeb広告、FacebookやTwitterなどのSNSで拡散される情報も含まれる。

コミュニケーションチャネルも、インターネットの普及によって劇的に変わったチャネルだ。インターネットの普及前であれば、テレビコマーシャル、電車内の吊り広告、新聞や雑誌などを通じて多くの人に情報を伝えることができたが、現在では情報の伝達手段が増え、また一極化したため、YouTubeなどを見ることの多い若い世代に向けてテレビや新聞で商品の情報を流しても効果は期待しづらい。インターネットによってマス(大衆)からコア(核)へと変化が起き、パーソナルコミュニケーションの重要性が増しているのだ。

コミュニケーションチャネルも他のチャネルと同様、ターゲットとする消費者の特性を考慮し、慎重にチャネルを選択しなければならないといえる。

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インターネットによりマーケティングチャネルは更に大きく変化

インターネットの普及によって、販売チャネルやコミュニケーションチャネルが大きく変化したことは既に述べたが、SNSなどでインターネットの利用者が情報発信(情報拡散)を始めたことにより、更にマーケティングチャネルは変化し始めている。

SNSを利用したコミュニケーションチャネル

SNSの特徴は、その情報拡散力だ。Facebookであれば「いいね!」をすればその情報が他者に伝わり、Twitterであればリツイートされて情報はどんどん広がっていく。

この拡散力を、企業はコミュニケーションチャネルとして利用している。近年、FacebookやTwitterに、次々と企業の公式アカウントが開設されていることからもわかるだろう。

たとえば食品メーカーのグリコは、毎年11月11日を「ポッキー&プリッツの日」として、TwitterをはじめとするSNSで毎回大規模なキャンペーンを展開している。キャンペーンの内容は毎回変わるが、ある回では利用者からポッキーを使ったダンスなどを投稿してもらい、それが別の利用者により更に拡散されていくのだ。グリコはこのキャンペーンの効果を公式には発表していないが、ポッキーとプリッツの販売促進にかなりの影響を与えていることは間違いない。

ライブコマースなどにより販売チャネルも多様化

中国から火がつき、2017年あたりから日本でも話題となっているのがライブコマースだ。ライブコマースとは、タレントやインフルエンサーがインターネットで商品紹介のライブ動画を配信し、視聴者は配信を見ながら商品を購入できるという形態のEC。動画の配信中はリアルタイムでコメントや質問が受け付けられ、双方向で進行する新しい販売チャネルになっている。

2020年に入ってからはFacebookがライブコマース機能(Facebook Shopにライブショップ機能として実装される予定)を発表、InstagramもInstagram Shopを立ち上げ、ショップ機能を強化する予定になっている。従来はコミュニケーションチャネルであったSNSがショップ機能を持ち始め、販売チャネルを多様化させているのだ。

また販売チャネルの多様化は、国境も変えつつある。国内の人気ECサイトが高品質な日本製品を海外に販売することを目的に、次々と「越境EC」サイトの運営を始めているのだ。

越境ECとは、国境を越えて行われるECサイトの取引を指す。日本の製品が外国から買われるだけでなく、その反対の流れも少なくはないが、「クールジャパン」の高品質な製品を求めるニーズはとても高く、中国、台湾、タイ、インドネシアなどから、医薬品や化粧品、家電製品や菓子が大量に購入されている。

インターネットの普及・発展は、マーケティングチャネルを常に変化させ続けており、この変化を常にとらえておくことが、マーケティングチャネルの有効な利活用につながるといえるだろう。

オムニチャネルも注目を浴びるように

マーケティングチャネルの変化によって、オムニチャネルも注目を集めている。オムニチャネルとは、販売チャネルをそれぞれ独立して運用するのではなく、連携させて消費者の利便性を高める戦略だ。

オムニチャネルの成功例としては、セブンイレブンのオムニチャネル戦略「オムニ7」が有名だろう。オムニ7はWeb上にあるECサイトだが、セブン&アイグループのコンビニ、百貨店、スーパー、アカチャンホンポなどの商品がオンラインで買えるようになっている。

また、商品の受け取りは、任意のセブン-イレブンを指定して受け取ることができ(宅配を指定することも可能)、駅からの帰り道や会社近くのセブンイレブンを受け取り場所に指定することも可能。これは日々忙しく働くビジネスパーソンにとって、この上なく便利なショッピング方法といえるだろう。

セブンイレブンは「実店舗」、「ECサイト」、「コンビニ」の販売チャネルを巧みに組み合わせることで、消費者の利便性を向上させ売上を伸ばしている。

STP分析や4Pと合わせてチャネルの最適化を

ここまでマーケティングチャネルの活用方法などを紹介してきたが、適切な「流通チャネル」、「販売チャネル」、「コミュニケーションチャネル」を選択するには、的確なターゲット設定が欠かせない。

STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)、4P(製品・価格・流通・プロモーション)の設定を行うと同時に、チャネル戦略も決定していく必要がある。マーケティングチャネルの最適化を図ることは、市場分析の結果作り上げた価値(商品)を、より効率的に消費者に届けることにつながるのだ。

STP分析についてもっと知りたい方はこちら

マーケティングチャネルを見直し新たな戦略を

インターネットを取り巻く環境が常に変化していることを考えれば、以前に設定したマーケティングチャネルが今も有効だとはとても思えないだろう。マーケティングチャネルは定期的に見直しを行い、どのようなチャネル戦略が効率的な販売につながるのか、検証を怠らないようにすることが売上を伸ばす近道かもしれない。

文・長田小猛(ダリコーポレーションライター)