ベンチャー企業の経営者の場合、なかには「経理の処理を自身で行っている」という人もいるだろう。近年、経理処理は会計ソフトを使用して行うことが可能だ。会計ソフトはかなりの部分を自動的に行ってはくれるものの、例えば「勘定科目の設定」はどうしても自分で行う必要がある。勘定科目は自分で決定しなければ会計ソフトは自動では決めてくれない。

そこでこの記事では印刷代の勘定科目および主な勘定科目の種類について徹底的に解説していく。

目次

  1. 印刷代の勘定科目は?
    1. 通常は広告宣伝費または消耗品費
    2. 年賀状の印刷代の勘定科目
    3. 印刷代の仕訳方法
  2. デザイン会社などの場合は印刷代が「外注費」になることがある
  3. あいさつ状の勘定科目
  4. 封筒の印刷代の勘定項目
  5. そもそも勘定科目とは?
  6. 主な勘定科目
    1. 収益についての勘定科目
    2. 費用についての勘定科目
    3. 資産についての勘定科目
    4. 負債についての勘定科目
    5. 資本についての勘定科目
  7. 印刷代の勘定科目は適切に選んで記帳しよう

印刷代の勘定科目は?

印刷代の勘定科目は?仕訳方法、主な消耗品の勘定科目についても徹底解説!
(画像=giocalde/Shutterstock.com)

印刷代の勘定科目がどのようになるのか見てみよう。

通常は広告宣伝費または消耗品費

印刷代は、印刷の目的によって勘定科目が変わってくるため注意が必要だ。原則として印刷が広告宣伝を目的としたものなら勘定科目は「広告宣伝費」、それ以外のものなら「消耗品費」となる。

  • 広告宣伝費となる印刷代
    チラシやフライヤー、商品パンフレットなどの印刷代

  • 消耗品費となる印刷代
    業務上使用する書類や名刺などの印刷代、プリントアウト代

勘定科目は、目的によって変わってくることを頭に入れておこう。なお以下のような3つのケースにも当てはまる。

  • 印刷を社内の印刷機やコピー機・プリンターなどで行った場合
  • コンビニなどのコピー機・プリンターを利用した場合
  • 社外の業者に委託した場合

年賀状の印刷代の勘定科目

印刷代の勘定科目の中でも「年賀状」については上述した内容と異なる取り扱いをする必要がある。なぜなら一般的にハガキや切手などの料金は、勘定科目として「通信費」を使用することになるからだ。したがって年賀はがきの場合にも「通信費」として仕訳するのがセオリーとなる。年賀状は、年賀はがきに印刷をして完成となるわけだが、この印刷代はどうすればよいだろうか。

厳密にいえば年賀状を印刷する際の勘定科目は、上述した通り「広告宣伝費」「消耗品費」のどちらかとなる。しかし額がそれほど大きくない場合(10万円以下程度)なら「通信費」としてまとめてしまってもかまわない。

印刷代の仕訳方法

印刷代の仕訳方法をそれぞれのケースについて見てみよう。

・勘定科目が「広告宣伝費」である場合
商品パンフレットを印刷して2万円を現金で支払った。


借方
金額 貸方 金額 適用
広告宣伝費 20,000 現金 20,000 パンフレット

・勘定科目が「消耗品費」である場合
名刺を作成して1万円を現金で支払った。


借方
金額 貸方 金額 適用
消耗品費 10,000 現金 10,000 名刺

・勘定科目が「通信費」である場合
年賀状を作成して3万円を現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額 適用
通信費 30,000 現金 30,000 年賀状

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デザイン会社などの場合は印刷代が「外注費」になることがある

印刷代は「広告宣伝費」「消耗品費」「通信費」のどれかに該当すると解説したが、これは一般的な会社の場合だ。デザイン会社などの場合には、印刷代が「外注費」となるケースもある。例えばデザイン会社が商品パンフレットの製作を受注したケースを考えてみよう。デザイン会社はパンフレットをデザインし外部業者に委託により印刷しクライアントに納品という流れを想定する。

その代金として「デザイン料4万円」と「印刷代6万円」の計10万円を受け取り印刷業者に6万円を支払ったとしよう。この取引においてデザイン会社は「10万円」を売り上げたことになる。ただしそのうち6万円は、印刷業者に支払いをしなければならない。この場合の印刷代の勘定科目は、印刷業者がデザイン会社の業務を委託されて行ったことになるために「外注費」となる。

仕分けは、以下の通りだ。


借方
金額 貸方 金額 適用
現金 100,000 売上 100,000 クライアント

借方
金額 貸方 金額 適用
外注費 60,000 現金 60,000 印刷業者

あいさつ状の勘定科目

年賀状の勘定科目は「通信費」、厳密にいえばハガキ代が「通信費」で印刷代が「消耗品費」となると解説した。それでは役員が変更になるなどして取引先などに「あいさつ状」を送った場合には、勘定科目はどうなるのだろうか?これは、やはり年賀状の場合と全く同様に考えてかまわない。あいさつ状を作成・送付するための費用は、額がそれほど大きくない場合にはまとめて「通信費」として計上することができる。

額が大きい場合には、あいさつ状の印刷費は「消耗品費」、郵送のためのハガキや切手代は「通信費」として計上する。

封筒の印刷代の勘定項目

社名入りの封筒を作成した場合の勘定項目を見てみよう。封筒の購入費用は、一般的には「消耗品費」として計上する。しかしここに社名を印刷した場合には、封筒が広告宣伝の役割を持つことになるため注意が必要だ。厳密に考えた場合には、以下のように考えられるだろう。

  • 白地の封筒の購入費用:消耗品費
  • 封筒へ社名を印刷する費用:広告宣伝費

例えば封筒を5,000円で購入して社名の印刷に2,000円がかかったとすると仕訳は以下の通りだ。


借方
金額 貸方 金額 適用
消耗品費 5,000 現金 7,000 社名入り封筒
広告宣伝費 2,000

ただしこの場合にも年賀状やあいさつ状と同様に額が小さい場合にはまとめて「消耗品費」としてしまってもかまわない。

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そもそも勘定科目とは?

印刷代の勘定科目については以上の通りだ。ここからは、そもそも勘定科目とはどのようなものなのかについて確認していこう。勘定科目とは、会社を運営していくうえで発生する収益や費用、増減する資産や負債・資本などについてその種別ごとに分類したものである。収益源や費用の使途などには実際には多くのものがある。

それら一つ一つの金額を細かく見ていくのではなく同種のものごとに分類された勘定科目の金額を見ることで経営の大きな傾向がつかみやすくなるメリットがある。勘定科目をどのように決めるかは法律で定められているわけではないため、自分の会社でどのような勘定科目を使用するかは、ある程度自由に決めてもかまわない。

ただし決算書は必ずしも社内の人間だけが見るものではなく株主や金融機関、取引先などの関係者も目を通す可能性がある。そのため勘定科目は社内でのみ通用するものではなく広く一般に使用されているものをできるだけ使用するのが望ましい。また勘定科目は一度決めたらそれ以後は変更しないことも重要である。なぜなら毎年変更してしまえば年度ごとの費用の比較ができなくなってしまうからだ。

主な勘定科目

一般に広く使われている主な勘定科目を見ていこう。勘定科目には大きく分けて以下の5つがある。

  • 収益
  • 費用
  • 資産
  • 負債
  • 資本

それぞれに属する勘定科目は以下の通りだ。

収益についての勘定科目


勘定科目
適用されるものの例
売上金 商品の販売やサービスの提供をすることで得た収益
受取利息 預金や貸付金、有価証券などの利子・利息
受取配当金 株式や投資信託などの分配金
雑収入 手数料や補助金・奨励金など

費用についての勘定科目


勘定科目
適用されるものの例
仕入高 商品や原材料の仕入れ代金、仕入れにかかった運賃
期首商品棚卸高 期首に保有している商品を当期の売上原価に加える
期末商品棚卸高 期末に残っている商品を翌年度に繰り越す
給料手当 従業員に支払う給与(基本給・諸手当・残業代など)
賞与 従業員に支払うボーナス
役員報酬 役員に支払う報酬
役員賞与 役員に支払う賞与
雑給 パートやアルバイトに支払う給与
法定福利費 事業主が負担する健康保険や雇用保険などの社会保険料
福利厚生費 慶弔金や社内リクリエーション費用、健康診断の費用
外注費 社内の業務を外部委託した際の費用
接待交際費 得意先への接待やお中元・お歳暮、取引先のお歳暮の香典
会議費 1人あたりの金額が5,000円以下の業務のための会食費
消耗品費 文房具や机、本棚、ロッカーなど
広告宣伝費 広告や宣伝のための費用
荷造運賃 商品を送り届けるための梱包代や配送料
販売手数料 商品の販売やサービスの提供で支払った手数料
水道光熱費 電気代、ガス代、水道代
賃借料 家賃や駐車場代、イベントの会場使用料など
新聞図書費 新聞や雑誌、書籍などの代金
通信費 電話代、インターネット接続料金、ハガキ・切手代
車両費 ガソリン代や高速料金、車検代、車の修理費用
旅費交通費 業務で必要となった交通費や旅費
減価償却費 減価償却で計上する費用
保険料 火災保険や自動車保険
支払利息 借入金の利息など
租税公課 印紙代や自動車税、固定資産税
法人税等 法人税や法人住民税、法人事業税

資産についての勘定科目


勘定科目
適用されるものの例
現金 現金として手元においてあるお金
当座預金 当座預金に預けてあるお金
普通預金 普通預金に預けてあるお金
定期預金 定期預金に預けてあるお金
受取手形 受け取った手形
売掛金 掛け売りした金額
商品 販売目的で外部から購入した商品
立替金 立て替えをした場合の金額
仮払金 交通費などを事前に仮に支払った金額
建物 事業のために保有している事務所や工場・店舗など
建物附属施設 建物に附属するエレベータや給排水設備、電気設備など
車両運搬具 営業用の車やバイク、トラック、フォークリフト
土地 事業のために所有している土地
工業所有権 特許権や実用新案権など
ソフトウェア パソコンなどのソフトウェア
開業費 開業までに支払った賃借料や広告費、交通費など

負債についての勘定科目


勘定科目
適用されるものの例
買掛金 掛け仕入れをした場合の金額
支払手形 約束手形など
未払金 クレジットカード払いなどをした際の金額
預り金 一時的に預かったお金
短期借入金 1年以内に返済期限がくる借入金
長期借入金 1年以後に返済期限がくる借入金

資本についての勘定科目


勘定科目
適用されるものの例
資本金 法定資本金の額
資本準備金 株主からの支払いのうち資本金の計上しなかったもの

印刷代の勘定科目は適切に選んで記帳しよう

現代の会計ソフトは使い勝手が良いものが多い。しかし勘定科目の設定は、会計ソフトが自動で決めてくれるものではないため自分で設定することが必要だ。印刷代の勘定科目は、一般的に「広告宣伝費」「消耗品費」のどちらかになるが、場合によっては「通信費」や「外注費」などとなることもある。自社の目的に応じて適切な勘定科目を選びしっかりと記帳を行っていくことが重要だ。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)