固定資産税は、固定資産の所有者である法人や個人が納付する税金である。法人の場合、事業に関する経費として会計処理ができる。個人事業主の場合も、場合により経費となる。ここでは固定資産税の概要や、固定資産の具体的な例示、会計処理時の仕訳の方法について説明していく。

目次

  1. 固定資産税とは?
    1. 固定資産税と償却資産税との違い
    2. 固定資産税評価額の違い
    3. 非課税枠の違い
    4. 申告の手続きの違い
  2. 固定資産税の仕訳方法
    1. 租税公課とは?
    2. 固定資産税の仕訳のやり方
  3. 個人事業主の固定資産税の仕訳
    1. 計上タイミングの違い
    2. 自宅の一部を事務所として活用する場合の取り扱い
  4. 会計・税務処理の内容やタイミングを誤らないように

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固定資産税とは?

固定資産税の仕訳のやり方は?償却資産税との違いと仕訳事例を徹底解説
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

まずは固定資産税と償却資産税について解説する。主に非課税枠や申告の手続きが異なるので、しっかり理解しておこう。

固定資産税と償却資産税との違い

固定資産税とは2つの税金から構成されている。

  • 土地と家屋(以下、「土地家屋」という)に係る税金
  • 事業の用に供することができる土地家屋以外の資産で、その減価償却費が税金計算上の必要経費になる資産(以下、「償却資産」という)に係る税金 つまり、償却資産税とは固定資産税の一部となる。それぞれの資産の例示としては以下である。

  • 土地
    田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地

  • 家屋
    住家、店舗、工場、倉庫、その他の建物
  • 償却資産
    構築物、機械・装置、工具・器具および備品、船舶、航空機など(ただし、自動車税種別割、軽自動車税種別割の課税対象となるものは除く)

参考:東京都主税局ホームページ

土地や家屋を保有していなくても、生産設備や業務用のパソコンを持っていれば、償却資産税が課される。 また、借りている事業所に内装工事や電気・空調工事などをした場合、内容によっては会計上の勘定科目は「建物」となり、固定資産税においては「家屋」に思えるが、建物の所有者以外が工事をする場合は償却資産となることもあるので注意が必要だ。 参考:東京都主税局 固定資産税(償却資産)申告の手引き

固定資産税は、毎年1月1日に土地家屋と償却資産を保有する者が納税者となる。固定資産税は課税権を持つ者が課税標準や税額を決定し、その決定通知に基づいて納税者が納税する「賦課課税方式」で納税する。土地家屋と償却資産では手続きが異なっているので紹介していこう。

固定資産税評価額の違い

土地家屋の固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価された額を知事または市町村が決定する。

償却資産の固定資産税評価額は、会計上の減価償却とは異なるルールによって計算された償却による評価額となる。会計上は取得した日から月割などで計算するが、償却資産の評価額上は1月1日から12月31日までに取得したものはすべて半年分償却する。

非課税枠の違い

固定資産税は、評価額合計に税率(1.4%)をかけたものが税額となる。評価額合計のことを課税標準という。課税標準がある一定の金額以上になるまでは非課税となる。この金額を免税点という。土地家屋および償却資産の免税点はそれぞれ以下となる。

  • 土地…30万円
  • 家屋…20万円
  • 償却資産…150万円

免税点未満の場合は、固定資産税は非課税となる。注意としては、課税標準から免税点相当の金額が引かれるわけではなく、免税点以上の場合は課税標準すべてに税率をかけることになる。つまり、土地の課税標準が100万円の場合、課税されるのは100万円から免税点相当の30万円を引いた70万円に税率をかけるのではなく、100万円に税率をかける。 この場合の固定資産税は以下となる。

100万円×1.4%=14,000円

申告の手続きの違い

土地家屋の場合は、登記などから情報をとれるため、市町村が固定資産の価格を決定して税額を納税者である個人や法人に通知する。3年に1度、資産の評価替えを行って価格を決定する。ただし2年目と3年目は増改築など変化がある場合を除いて価格を据え置くものとされている。

一方、償却資産の場合は、その保有状況を市町村が把握できないことから、毎年1月末日までに、保有している償却資産の一覧や評価額などを申告し、それをもとに市町村が課税額を決定する。申告が必要である意味では申告納税方式に近いが、あくまで申告内容にもとづいて市町村が税額を決定する賦課課税方式となる。

なお、市町村によって納期限が異なるが、固定資産税と償却資産税の納期限は同じことが多い。第1期から第4期まで分かれているが、第1期にすべてを納税できる。場合によっては、納期限から前倒しで全額納付するといくらか固定資産税額が減る「前納報奨金」がある自治体もあるが、縮小傾向にあるようである。 また、クレジットカードや口座振替での納付が可能な市町村もある。

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固定資産税の仕訳方法

ここでは固定資産税の仕訳の方法について解説をする。具体的な仕訳事例を載せているので、参考にしてみてほしい。

租税公課とは?

固定資産税は賦課課税方式の税金であり、市町村から決定通知が届くので、それにもとづいて仕訳処理をする。このとき、勘定科目は「租税公課」を用いるのが一般的である。 「租税公課」とは、国税や地方税などを意味する「租税」と、国や地方自治体など に払う手数料などを指す「公課」から成る勘定科目である。固定資産税については、地方税であり、租税の範囲であることから、租税公課とすることが多い。租税公課は販売費および一般管理費に該当し、事業上の経費となる。

固定資産税の仕訳のやり方

次に、具体的な仕訳をみていこう。払ったときにのみ会計処理をするのではなく、税金が通知されたとき、納付したとき、に分けて考える。

・固定資産税の賦課決定がされたときの仕訳事例
決定通知が届き、固定資産税120,000円が課されたことが判明した。

借方 貸方
租税公課 120,000 未払金 120,000

固定資産税を納付する前であっても、課税が決定されたタイミングで経費を計上する。勘定科目は租税公課を用い、納付前の状態であれば相手勘定は未払金を使用する。

・固定資産税を納付した日の仕訳事例
決定通知に同封された納付書のうち第1期分を用いて、固定資産税を納付した。

借方 貸方
未払金 30,000 現金 30,000

決定通知に同封された納付書のうち第2期分を用いて、固定資産税を納付した。

借方 貸方
未払金 30,000 現金 30,000

このように納付の都度、未払金を減らしていくことになる。

個人事業主の固定資産税の仕訳

個人事業主の固定資産税は法人と異なる点もあるので注意したい。自宅の一部を事務所として使用する場合についても解説する。

計上タイミングの違い

法人も個人事業主も、固定資産税が課されるタイミングに差はない。ただ、その扱いについては若干異なる。 法人は賦課課税方式による租税については、納税前であっても税金計算上の経費(「損金」という)とする。賦課課税方式による租税公課の損金算入の時期は以下の定めがある。 「不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税などの賦課課税方式による租税については、賦課決定のあった事業年度」

参考:国税庁ホームページ No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期

会計上もこれと合わせて租税公課として処理する。

個人事業主も、法人と同様に賦課決定のあった年とする。だが小規模の事業者については「現金主義」といって、現金が動いた際に売上や仕入や費用を認識することが許容されている。よって、分納する場合には、納付の都度費用を計上することになる。このときの仕訳は以下である。

借方 貸方
租税公課 30,000 現金 30,000

これを納付の都度繰り返すことになる。

自宅の一部を事務所として活用する場合の取り扱い

持ち家の一部を個人事業の事務所にした場合、持ち家に関する固定資産税は事業の必要経費になるのだろうか。 結論としては、事業に関係する部分に限って、経費にすることも可能と考えられる。固定資産税は「家事関連費」の一部と考えられる。個人事業主の必要経費の内容は具体的に定められているものではないが、家事関連費などは所得税法第45条に以下のように定められている。

(1)家事上の経費及びこれに関連する経費で、政令で定めるものは必要経費にならない
(2)所得税は必要経費にならない
(3)所得税以外の国税に係る延滞税等のペナルティは必要経費にならない

(3)についてはさらに、所得税法施行令第96条に定めがあり、以下のものだけが必要経費になるという定めがある。 業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録にもとづいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費 ようするに、業務遂行に必要であり、業務に関係する部分としない部分を明確に区分できるものは、明確に関係する部分のみ必要経費となる、ということである。話は持ち家の固定資産税に戻るが、個人事業主の事務所としての持ち家に関する固定資産税は、その持ち家での事務の必要性が明確であり、かつその業務に関する部分が明確に分けられるのであれば、業務に関係する部分に限って必要経費となると考えられる。

会計・税務処理の内容やタイミングを誤らないように

固定資産税は、土地家屋と償却資産に関する税金に分かれることをみてきた。土地家屋についての税金と、償却資産についての税金の違いや、法人と個人事業主の扱いについての違いを理解し、会計処理や税務処理の内容とタイミングを誤らないように注意したい。特に個人事業主については、持ち家を事務所とした場合の扱いなど細かい考え方もあるため、正しく理解し、適切な処理をしてほしい。

(※記事中の法律・税制などに関する記載は2020年7月時点のものであり、現在は法律等が改正されている場合が考えられますのでご注意ください。)

文・新井良平(バックオフィスLABO代表)

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