会社を経営していると、法人税や消費税など様々な税金がかかる。税金は、その種類によって、確定時や納付時の勘定科目と税務上の扱いが異なる。ここでは、税金の種類とその納付時の扱いや仕訳についてみていく。

目次

  1. 法人が納税する税金と仕訳の勘定科目
    1. 法人税
    2. 法人住民税(法人都道府県民税・法人市民税)
    3. 法人事業税
    4. 消費税
  2. 法人の税金で損金算入されないもの
  3. 法人税等の仕訳事例
  4. 消費税の仕訳事例
  5. 法人税や消費税には複数の処理方法がある

法人が納税する税金と仕訳の勘定科目

法人が納める「税金」の種類は何がある?仕訳の方法についても解説
(画像=takahashikei1977/stock.adobe.com)

法人が納付する税金は法人税だけではない。消費税のほか、印紙税や固定資産税、事業所税なども納付する。税金はそれぞれ、税金を計算する基礎となる課税標準と税率・税額が定められている。

また、これらの税金は、納税者が税額を計算し申告と納税をする「申告納税方式」と、納税者が税額の通知を受け取って納税する「賦課課税方式」に分けられる。

課税の方式は税金ごとに異なり、それを正しく把握することが漏れのない適切な納税につながる。以下では、法人が課される税金のうち、税額が大きくなりやすい法人税と消費税について説明する。

法人税

法人税には、国税である法人税・地方法人税と、地方税である法人事業税・法人住民税が存在する。

国税である法人税の税額は、会計上の当期純利益に税務調整を加えた「課税所得」に所定の税率をかけて算出される。申告納税方式を採用している場合は、納税者が法人税額を計算し、申告期限までに税務署や国税庁に申告する。

そして、申告に基づく税額を納期限までに納税する流れだ。申告内容の正しさについては、税務署や国税庁がその都度確認するものではなく、一定期間ごとに税務調査が実施される。

法人税を申告した場合と納税した場合、勘定科目には何を選んだらよいのだろうか。税金のため「租税公課」を用いることも考えられるが、「法人税等」を用いるのが一般的である。法人税に関する会計処理は「企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」に定められており、以下のように記載されている。

「法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)は、損益計算書の税引前当期純利益(又は損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示する。」

この基準に沿えば、税引前当期純利益の下に法人税等を計上し、その次に税引後当期純利益を表示することになる。なお、法人税等の「等」とは、「法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)」を指している。

法人住民税(法人都道府県民税・法人市民税)

法人住民税は、法人都道府県民税と法人市民税に分かれる。いずれも申告納税方式である。東京23区の場合は都税事務所のみに申告すればよいが、通常は都道府県と市区町村それぞれに申告書を提出する。

法人住民税の税額は、法人税(国税)の税額や従業者数と資本金の組み合わせで決まる。特に後者は「均等割」といって、赤字の場合でも必ず課税される税金となっている。法人住民税の仕訳で使用する勘定科目は「法人税等」が一般的だ。根拠は先述の会計基準である。

法人事業税

法人事業税は都道府県の税金であり、申告納税方式である。課税標準は3つあり、所得に課される「所得割」、付加価値に課される「付加価値割」、資本金等に課される「資本割」となっている。

ただし、「付加価値割」と「資本割」は外形標準課税といい、資本金が1億円を超える規模の法人等にのみ課される。外形標準課税対象法人でない場合、事業税は「所得割」のみとなり、事業税の税率は外形標準課税対象法人よりも高くなる。付加価値割や資本割が課されないかわりに、所得割の税率が高くなるのだ。

また、厳密には事業税所得割には国税が一部含まれている。2019年9月30日までに開始する事業年度については「地方法人特別税」、2019年10月以降に開始する事業年度については「特別法人事業税」が適用される。これは、地方間の税収偏在を是正する目的で創設された制度であり、徴収した税金を都道府県を通じて一度国へ納付したあと、国から都道府県に再分配する。

外形標準課税対象法人である場合、付加価値割にあたって、当年度に獲得した付加価値を計算する必要がある。付加価値とは、外形標準課税対象法人に、家賃や利子、人件費といった収益分配額を調整して算出する。単年度損益がマイナスであっても、家賃や人件費などが大きい場合は、付加価値額はプラスになり、税金が課されることもある。

資本割の課税標準は、「資本金等」である。これは、資本金と資本準備金を合計したものに過去の損失の補填や資本の払い戻し、自己株式の取得等を調整して算出することができる。調整後の資本金等がマイナスになるような場合でも、課税標準の下限は会計上の資本金と資本準備金の合計額となる定めがあるため、単年度損益が赤字であっても課税標準は必ずプラスになる。よって、外形標準課税対象法人であれば課税される。

付加価値割と資本割は、赤字でも課税されるところがポイントだ。これらは大規模に事業を展開していても、単年度損益が赤字であると殆ど課税されない問題への対応として導入された課税方法である。

事業税を会計処理する際の勘定科目は、所得割は「法人税等」、そのほかは「租税公課」を用いるのが一般的である。いずれも根拠は法人税等に関する会計基準であり、特に後者については基準の以下の記載を参考としている。

「事業税(付加価値割及び資本割)は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示する。」

販売費及び一般管理費の中で租税を表す科目は租税公課であるため、これを用いることが自然であろう。

消費税

消費税は、厳密には国税である消費税と地方税である地方消費税に分かれ、合わせて消費税等とも呼ばれる。

消費税率は2019年10月1日以降10%であるが、これは7.8%の国税と2.2%の地方税から構成されている。消費税の負担者は消費者であり、法人などの事業者は消費税を負担しない。ただし、申告と納税をするのは事業に関連して消費税を受け払いする事業者である。このことから、消費税は納税者と負担者が異なる「間接税」となっている。

消費税の会計処理方式は2つあり、「税込方式」と「税抜方式」がある。どちらを採用するかによって使用する勘定科目が変わるため注意が必要だ。消費税率を10%として、2つの方式の違いを説明する。

1.税込方式 税込方式とは、売上や仕入、費用などについて、消費税を含めた金額で決算書に記載する方式である。たとえば税抜1万円の物品を販売し、消費税1,000円を乗せて1万1,000円を受け取った場合、売上高は1万1,000円となる。

仕入や費用も同様で、税抜4,000円の消耗品を購入し、消費税400円を乗せて4,400円支払った場合、費用は4,400円となる。このとき、この事業者が納付すべき消費税は、受け取った消費税1,000円から支払った消費税400円を引いた600円となる。税込方式の場合、この消費税は費用として計上する。勘定科目は「租税公課」が一般的だ。簡単な損益計算書は以下となる。

勘定科目 税込方式
売上高 11,000
消耗品費 4,400
租税公課 600
利益 6,000

2.税抜方式 一方、税抜方式とは、売上や仕入、費用などについて消費税を除いた金額で決算書に記載する方式である。たとえば税抜1万円の物品を販売し、消費税1,000円を乗せて1万1,000円を受け取った場合、売上高は1万円となる。仕入や費用も同様で、税抜4,000円の消耗品を購入し、消費税400円を乗せて4,400円支払った場合、費用は4,000円となる。事業者が納付すべき消費税は税込方式と同じで600円となる。

税抜方式の場合、消費税は費用とならず、貸借対照表上の勘定科目を用いる。簡単な損益計算書は以下となる。

勘定科目 税抜方式
売上高 10,000
消耗品費 4,000
利益 6000

いずれの方式によっても、消費税額や利益に差異がないことがわかる。 >>会員登録して限定記事・イベントを確認する

法人の税金で損金算入されないもの

法人が納付する税金は、税金計算上の経費(「損金」という)になるものと、ならないものがある。事業に関係する経費は基本的には損金となるが、以下の税金は損金とならない。

  • 法人税(国税)
  • 法人住民税
  • 延滞税や延滞金などのペナルティー
  • 利子源泉、配当源泉や外国法人税
  • 消費税(税抜方式の場合)

法人税を納付しなかった場合や、税額が納付すべき金額に比べて不足している場合、申告をしなかった場合などは、通常の税金に加えてペナルティー相当の税金も払うことになる。ペナルティーを損金に算入してしまうと、懲罰としての効果が薄れるためだ。 また、消費税については、税込方式の場合は損金になる。売上や仕入に係る消費税が利益計算に算入されているため、納付する消費税も損金となる。税抜方式の場合は、売上や仕入に係る消費税が損益計算書に載っていないため、納付する消費税も損益計算書に載らず、損金にも算入されない。

法人税等の仕訳事例

法人税等に関する仕訳について、具体例をみていこう。 1.法人税等の仕訳:決算時 法人税等は、法人税・地方法人税・法人事業税所得割・法人事業税資本割・法人事業税付加価値割・法人住民税に分類できる。これを2つに分割する。

法人税・地方法人税・法人住民税の合計が1,000円、法人事業税所得割が300円の場合。

借方 貸方
法人税等 1,300 未払法人税等 1,000
  未払事業税 300

法人事業税資本割、法人事業税付加価値割が合計500円の場合は以下のようになる。

借方 貸方
租税公課 500 未払法人税 500

2.法人税等の仕訳:税金納付時 法人税等と事業税を1,800円納付した場合。

借方 貸方
未払法人税等 1,000 預金 1,800
未払事業税 800  

3.法人税等の仕訳:中間納付時 900円分を中間納税した場合について、ここでは3つの方式を紹介する。

・損金経理方式

借方 貸方
法人税等 900 預金 900

・仮払経理方式

借方 貸方
仮払法人税等 900 預金 900

・納税充当金方式

借方 貸方
未払法人税等 900 預金 900

消費税の仕訳事例

先述した例の数値を用いて、税込方式と税抜方式に分けて説明する。

1.消費税の仕訳:決算時 ・税込方式

借方 貸方
租税公課 600 未払消費税 600

・税抜方式

借方 貸方
仮受消費税 1,000 仮払消費税 400
  未払消費税 600

2.消費税の仕訳:税金納付時 ・税込方式

借方 貸方
未払消費税 600 預金 600

・税抜方式

借方 貸方
未払消費税 600 預金 600

税込方式、税抜方式はどちらも同じ処理になる。

3.消費税の仕訳:中間納付時 ・税込方式

借方 貸方
租税公課 300 預金 300

・税抜方式

借方 貸方
未払消費税 300 預金 300

または

借方 貸方
仮払消費税 300 預金 300

法人税や消費税には複数の処理方法がある

法人が納付する主な税金である法人税や消費税は、実は国税と地方税に分かれている。複数の処理方式があり、それに応じて使用する勘定科目が異なることを理解する必要がある。税金計算における扱いも異なるため、自社がどの方式を採用しているのかを理解し、正しい税務申告をすることが大切だ。

文・新井良平(バックオフィスLABO代表)