新型コロナウイルスは、人々の生活を激変させている。 日本政府は新型コロナウイルス対策として、リーマンショック時の2倍規模の経済対策を実行している。中でも補助金、助成金といった2種類の言葉が使われているが、両者はどのような違いがあるのか解説していく。

目次

  1. 補助金とは?
    1. 補助金の目的
    2. 補助金の具体事例
    3. 補助金の会計・税務処理
  2. 助成金とは?
    1. 助成金の目的
    2. 助成金の具体事例
    3. 助成金の会計・税務処理
  3. 補助金と助成金の違い
    1. 共通点
    2. 相違点
  4. 補助金と助成金をうまく活用する

補助金とは?

補助金と助成金の違いとは?新型コロナウィルスを元に解説
(画像=s-motive/stock.adobe.com)

補助金とは国や地方公共団体などが、事業者や個人に対して原則返済不要のお金を給付する制度である。この章では補助金の目的、新型コロナウイルスの補助金事例、会計・税務処理を確認していく。

補助金の目的

補助金の目的は、国や地方公共団体の進めたい政策を後押しすることである。例えばIT化を進めたいという国策があるとした場合、IT化を進める企業に補助金を給付する。補助金は経済産業省管轄のものが多い点が特徴だ。

経済産業省の中小企業庁ホームページには現在募集している補助金の概要が詳しく記載されている。補助金の応募を考えている場合は、きちんと確認しておこう。

補助金の具体事例

新型コロナウイルス関連の補助金は、IT補助金の「特別枠」やマスク生産設備導入補助金などが該当する。

IT補助金の「特別枠」とは、国がテレワーク導入や業務改善の費用について最大補助率3/4の補助金を給付する制度だ。ソフトウェアの導入とあわせてパソコンやタブレットなどのレンタル費用も対象となっている。

新型コロナウイルスの影響で、なるべく多くの企業を在宅勤務体制へ移行させるという目的があったからこその補助金である。

マスク生産設備導入補助金とは、新型コロナウイルスの影響でマスクの不足に陥った際に、制定された補助金だ。具体的にはマスク生産設備を導入する企業へ中小企業の補助率3/4、大企業の補助率2/3で最大3,000万円を支給する制度である。

経済産業省のホームページを見ても、自分がどのような補助金を受けられるか分からない場合は、顧問税理士や外部のコンサルタントなどに相談するといいだろう。

また、新型コロナウイルス以外の補助金は下記のようなものがある。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 大企業人材等の地方での活躍推進事業補助金
  • 共同・協業販路開拓支援補助金
  • 地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業(地域・社会課題の解決支援)の起業家教育事業
  • JAPANブランド育成支援等事業(特別枠)
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 経営資源引継ぎ補助金

補助金の会計・税務処理

補助金の会計処理は簡単で、受け取った現金を雑収入に計上する。例えば100万円の補助金を受け取った際の仕訳は下記のとおりだ。 現預金100万円 / 雑収入100万円

税務処理に関しては、補助金の100万円は税金がかからないと思う人もいるだろうが、法人税は課税される。例えば他の売上や費用が全くない決算期に補助金を100万円受け取った場合は、100万円×法人税率の法人税が発生する。

一方、補助金は消費税には無関係で課税されない。補助金の税務処理は、法人税がかかる点だけ押さえおきたい。

また固定資産を購入する目的の補助金の場合、施設補助金に該当し「圧縮記帳」と呼ばれる当該年度の税負担を軽減することができる。圧縮記帳を行うことで課税を繰り延べることで、補助金を受け取った年度に全額法人税がかかることがなくなる。

キャッシュフローの観点では、圧縮記帳を適用することが有利に働くので、施設補助金を受け取る予定がある場合は顧問税理士などに必ず確認しておくことが望まれる。

一方で圧縮記帳を行ったとしても法人税を「繰り延べる」ことができるのみで、ゼロにできない点は留意しておこう。

すなわち、圧縮記帳をしなければ初年度に全ての法人税を支払うのに対して、圧縮記帳を行うことで5年間にわたって法人税を支払う、といったイメージである。

助成金とは?

助成金とは、国や地方公共団体などが返済不要のお金を事業者または個人に給付することであり、定義としては補助金とほぼ同一である。

この章では助成金の目的、新型コロナウイルスの助成金例、会計・税務処理を見ていく。補助金との共通点や相違点にも着目してほしい。

助成金の目的

助成金の目的は国の政策を後押しすることであり、補助金と共通している。助成金は、労働者の職業安定や、研究開発促進のために制定されることが多い。

職業安定の助成金は厚生労働省管轄、研究開発促進のための助成金は経済産業省管轄となっている。厚生労働省管轄の助成金は、事業主向け、事業主団体向け、労働者向けの3パターンに分類されている。

現在、どのような助成金が受けられるかは厚生労働省のホームページに詳細が載っている。

助成金の具体事例

新型コロナウイルスに関する助成金は、雇用調整助成金(新型コロナウィルス感染症の影響に伴う特例)が挙げられる。従来の雇用調整助成金から、上限額の引き上げや助成率の引き上げを行っている点が特例内容である。

申請方法も従来手法より簡素化された手法が認められ、幅広い事業者が適用できる。2020年6月28日までに累計28万以上の申請があり、支給決定数は18万以上とすでに申請の60%以上が支給決定されている。

補助金と同様に助成金も数多くの種類があり、何を受けられるのか迷ってしまうかもしれない。助成金は社労士の守備範囲でもあるので、顧問社労士がいる場合は顧問社労士に問い合わせてみよう。

また顧問社労士がいない場合も、多額の助成金が受領できる見込みが高いのであれば、これを機会に顧問契約することを考えてもいいだろう。

雇用調整助成金以外の助成金は以下のようなものがある。

  • 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)
  • 小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金
  • 労働移動支援助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 障害者雇用安定助成金
  • キャリアアップ助成金

助成金の会計・税務処理

助成金の会計・税務処理は補助金と同一である。例えば事業者が雇用調整助成金を100万円受け取った場合の会計処理は下記のとおりである。 現預金100万円 / 雑収入100万円

税務処理においても、雑収入100万円は益金(法人税法上の利益のこと)となり、法人税課税の対象となる。

また補助金と助成金で共通しているが、支給決定日と実際の入金日はずれが生じることが通常である。支給決定日と実際の入金日の間に、決算日がある場合は、支給決定通知書を受領したタイミングで下記の仕訳を行う。 未収入金100万円 / 雑収入100万円

決算日後、実際に入金されたタイミングで上記仕訳の反対仕訳を行う。 現預金100万円 / 未収入金100万円

補助金と助成金の違い

補助金と助成金のそれぞれについて、基本的な要素と具体的なコロナ対策の事例、会計・税務処理を解説してきた。この章では補助金と助成金の違いに焦点を当てて解説していく。

共通点

補助金、助成金の共通点は下記の6点があげられる。

  1. 国や地方公共団体から支給される
  2. 原則として返済不要
  3. 現金支給である
  4. それぞれに個別の支給上限額がある
  5. 対象者が限定されている
  6. 支給には審査が必要。応募しなければ支給されることはない。

補助金、助成金と同じような意味の言葉に給付金もある。給付金も基本的には補助金と助成金の共通点と同様の特徴がある。新型コロナウイルスの給付金は下記の3つがある。

  1. 持続化給付金
  2. 10万円の特別定額給付金
  3. 家賃支給給付金

新型コロナウイルスに関する給付金は、即効性が高いものが多く、対象者が多いことが特徴である。例えば、10万円の特別定額給付金であれば、支給される条件は「基準日(令和2年4月27日)時点で、住民基本台帳に記録されている者」の1点のみである。

また、持続化給付金の条件は、「前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること」が基本的なものである。

相違点

補助金と助成金の基本的な相違点は、応募期間が決まっているかどうか、支給される可能性の違いの2点である。

補助金は応募期間が決まっていることが多い。応募期間が締め切られてしまえば、条件を満たして自らが受給することがふさわしいと考えていても、応募は受け付けられない。

一方、助成金は雇用調整助成金、再就職支援関係の助成金、雇用関係整備関係の助成金など、基本的には応募期間は定められていない。応募期間が定められている補助金は、特に注意が必要であろう。

補助金と助成金の支給可能性には大きな相違がある。補助金は例え補助金の対象条件を満たしていたとしても、応募人数が多い場合、他社の申請内容がより国策のためになると審査された場合は支給されないことも多い。

助成金は支給条件を満たしていれば、応募する人数が多かろうが基本的には支給される。

補助金と助成金をうまく活用する

補助金と助成金は国や地方公共団体から返済不要の現金給付を受けることができるため、日々の経営に大きく役立てることができる。新型コロナウイルスをはじめとして、世界の不確実性はますます大きくなっている中、資金はいくらあっても無駄になることはないだろう。

一方、補助金や助成金には使用目的や支給の条件があり、不正受給をするようなことがあれば厳しく罰せられる。自分が補助金や助成金を受けることのできる対象かどうかは、事前によく確認しておこう。

補助金や助成金の最新情報を知るなら、経済産業省や厚生労働省のホームページが参考になる。また、新型コロナウイルスの対策については、首相官邸のホームページがよくまとまっている。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部