経営者の多くの頭を悩ませる問題の一つが、「マーケティング」だろう。中小企業にとって、マーケティングにさけるリソースというのはそう多くない。また、マーケティングの手法は時代とともに変化するものだし、常に新しいやり方を模索していく必要がある。今、このIT時代に、中小企業はどのようにマーケティングを行えばいいのか。概要を解説する。

目次

  1. 中小企業の経営者が課題に感じる「マーケティング」の重要性
  2. マーケティングとはそもそも何か?
  3. マーケティングは時代によって変わる?
  4. 今後は、デジタルを活用したマーケティングが主流となる?
  5. デジタル時代のマーケティング手法を紹介!
    1. SEO(検索)対策
    2. SNS活用
    3. リターゲティング
  6. デジタル時代のマーケティングを制する者はビジネスを制する!

中小企業の経営者が課題に感じる「マーケティング」の重要性

IT時代に経営者が知っておきたい、「新しい」マーケティングの常識とは?
(画像=everythingpossible/stock.adobe.com)

多くの中小企業の経営者が課題に感じているのが、「マーケティング」だ。マーケティングは、営業や生産、経理などと異なり、企業を存続させるうえで、必ずしも必要なものではない。しかしながら、販売力・営業力を強化し、企業を成長させるためには、なくてはならないものだ。

実際、中小企業庁の調査によると、7割もの経営者が「営業力・販売力の強化」が課題であると答えている。一方で、支援を受けているのは、「資金繰り」や、「雇用」の面での支援が多く、こういった、「営業力・販売力の強化」については、どうしても後回しになりがちなのが現状だ。

しかし、中小企業こそ、マーケティングが重要になるのだ。たとえば、大手であれば、資金やリソースが潤沢にあるため、物量作戦で営業力を強化することも可能だろう。しかし、大手に比べて人員がさけない以上、より効率的に、営業活動を行っていく必要がある。その指針となり、サポートにもなるのがマーケティングだ。マーケティングを活用することで、リソースが少ない中でも、大手企業と対等に競争ができるのだ。

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マーケティングとはそもそも何か?

マーケティングの難しさの一つに、「そもそも何をもってマーケティングなのか」という、定義の難しさがある。実際、マーケティングに関する本は多く出ているが、範囲があまりにも大きく、実際行動する段になって、何をすればよいかわからない、と感じている人もいるだろう。経営学の神様とも呼ばれるピーター・ドラッカーは、マーケティングについて、「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ。」と語っている。しかし、これを見ただけで、自社が何をすればいいか、というのがすぐにわかる、という人はそうそういないだろう。

同じくマーケティングでよく知られるフィリップ・コトラーは、マーケティングを「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること。」と言っている。これはドラッカーに比べると、もう少し具体化されているといってよいだろう。これをさらに具体的に考えていくと、マーケティングとは、とどのつまり、「見込み顧客の獲得」にある。闇雲に営業を行うのではなく、ある程度自社の顧客になってくれそうな先を見つけ、そこにアプローチをしていく、ということをサポートするのがマーケティングなのだ。

マーケティングは時代によって変わる?

マーケティングが難しいのは、もう1つ、「時代によってマーケティングの考え方、手法は変わる」ということだ。

たとえば、よく知られている、購買の意思決定モデルとして、「AIDMA」というものがある。これは、1920年代にアメリカで提唱されたモデルで、「Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買)」の順に顧客心理が変わる、というものだ。

このAIDMAという考え方は、マーケティングの世界では一般的に使われていたが、2000年前後になると、「AIDMA」に代わって、「AISAS」という考え方が用いられるようになった。これは、電通が提唱したモデルであり、インターネット時代の購買の意思決定は、「Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)」に変わっていく、というものだ。そして、2010年代には、「SIPS」というモデルが提唱されるようになった。これは、「Sympathize(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Share & Spread(共有、拡散)」というもので、よりSNS時代に合わせた顧客の購買行動を現したものだ。このように、時代の変化やテクノロジーの変化に合わせて、マーケティングの考え方も変化していくのだ。

今後は、デジタルを活用したマーケティングが主流となる?

では、今後、マーケティングはどのように変わっていくのだろうか。結論から言うと、基本的には、「デジタル」の重要性がさらに増してくるだろう。

理由の1つとして、消費者がデジタルに触れる機会が、今後ますます増えてくることが想定されることがあげられる。2019年に、インターネット広告の費用は、テレビ広告の費用を逆転し、2兆円を超えた。テレビや新聞広告などが右肩下がりなのに対し、インターネット広告の規模は年々拡大している。このように、あらゆる産業でデジタルシフトが進んでいる今、マーケティングも、デジタル活用抜きに語ることはできなくなるだろう。

もう1つは、D2Cブランドのようなビジネスが台頭してきていることだ。D2Cブランドとは、Direct to Consumerの略で、メーカーが卸や小売りを介さず、直接消費者に商品を販売するビジネスモデルだ。D2Cブランドは、デジタルを活用し、顧客の獲得を行っている。こういったブランドは、コロナ後においても成長が見込まれている。

デジタル時代のマーケティングは、デジタル時代より前と異なり、基本的に、ユーザーの行動を可視化し、数値化することがベースとなっている。この場合、PDCAがより回しやすい(仮説に対する検証がはっきりと出る)ということや、費用対効果がわかりやすいというメリットがある。こういったことからも、2020年以降は、ますますデジタルマーケティングが主流となっていくのではないだろうか。

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デジタル時代のマーケティング手法を紹介!

では、このデジタル時代には、どのようなマーケティングを行っていくのがよいのだろうか。主な手法を簡単に紹介する。

SEO(検索)対策

まず知っておきたいのは、SEO対策だ。SEOは「Search Engine Optimization」の略で、自社のWebサイトを、カスタマーが検索したときに、より上位に持ってくるような対策のことを指す。

もっと具体的に言うならば、Google、で検索されたとき、いかに自社のWebサイトを上位に表示させるか、ということだ。基本的に、日本では、PC、モバイル問わず、検索エンジンを使う時は、Googleが圧倒的に使われることが多い。つまり、Googleの表示基準に合わせて対策を行うことが、SEO対策のスタンダードになる。

では、Googleは、どのような基準で、検索順位を決めているのだろうか。Googleの品質評価ガイドラインによると、「検索結果は、その検索した人の役に立つものでなくてはいけない」とされており、そういった判断基準で、検索順位が決まるようだ。もっと具体的に言うと、人の役に立つものということで、専門性、権威性、信頼性の3つを重視する、と言われている。

専門性とは、情報がきちんと網羅されていたり、情報が新しかったり、その情報により問題が解決できるなど、高品質なコンテンツであることを意味し、また、権威性とは、そのコンテンツが第三者から評価されているかどうか、また、信頼性は、オリジナル性が高いことや、専門家として認知されているかどうかも重要になってくるようだ。こういったことを、サイトの内容だけでなく、サイト運営企業の情報など、総合的に判断して、検索順位を決めているようだ。

具体的なアクションとしては、適切に評価されるために、コンテンツ内容の見直しや、ページタイトル、H1タグと呼ばれる見出しの設定、キーワードの量、リンクの設定など、細かい部分の見直しを行っていくことになる。自分で勉強しつつ行うこともできるが、SEO対策の企業も存在しており、そちらにお願いするのも1つの手段だろう。ただ、手法だけにとらわれるのではなく、基本は、「信頼がおけるコンテンツを作ることができるかどうか」が一番重要なことは、理解しておきたい。

SNS活用

次に、SNSの活用だ。SNSの活用は、文字通り、TwitterやFacebook、LINEなどを使って、直接ユーザーとコミュニケーションをとることである。

今では企業の大小を問わず、様々な企業がTwitterやFacebookなどのSNSを活用している。実際、数十万のフォロワーを持つアカウントも存在するくらいだ。ほぼ無料で、かつ、数十万人にメッセージを伝えられるという点において、SNSは非常に効果的だといえるだろう。

SNSは手軽に登録でき、また、ユーザーと気軽にコミュニケーションをとれるという点がメリットだろう。一方で、手軽がゆえに、目的を見失いがち、というリスクもある。SNS運用を行う際は、目標や目的をきちんと設計して、また、ターゲットとするユーザーを絞りながら、適切なコミュニケーションをとることが望ましいと言えるだろう。

リターゲティング

最後に紹介したいのが、リターゲティングだ。これまで紹介したSEOやSNS活用は、無料でできるものになるが、リターゲティングというのは、有料の広告になる。

SEOが「興味があると思われる層」へのアプローチだとしたら、リターゲティングは、「さらに関心が高い層」へのアプローチだと言えるだろう。SEO対策が、検索ワードをフックにしている、つまり、「まだサイトに訪れたことのないユーザーをターゲットにしている」のに対し、リターゲティングは、「一度サイトに訪れたユーザー」をターゲットにしている。クッキーと呼ばれる追跡タグを、一度訪れたユーザーに付与することで、そのタグをベースに、そのユーザーに対して広告を打つ仕組みが、リターゲティングだ。

一度Webサイトに訪れているということは、それなりに関心が高い層で、そういった顧客にアプローチすることで、見込み客になる可能性は他に比べて高いと言えるだろう。つまり、普通にWeb広告を打つよりも、より高い効果が期待できるのだ。GoogleやAmazon、Facebookなど多くの企業がこのリターゲティングを活用した広告サービスを提供しており、基本的にはそれを使用する形になる。

デジタル時代のマーケティングを制する者はビジネスを制する!

中小企業の経営者の悩みの種の1つである、マーケティング。マーケティングにさくリソースがなかなかない一方で、しかし、マーケティングをうまく活用すれば、リソースで勝る大企業とも互角以上に戦うことも可能だ。

現代のマーケティングは、テクノロジーを活用した、デジタル時代のマーケティングが主導になる。デジタル以前に比べ、ユーザーの行動が可視化され、数値化されるようになったのが特徴だ。今、この時代だからこそ、デジタル時代のマーケティングを取り入れ、成長に生かしてみることを検討してはいかがだろうか。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部