「営業部隊の成績が思うように上がらない」と悩んでいる経営者も多いのではなかろうか。会社の売り上げは営業力によってのみ決まるものではない。しかし契約を最後に獲得するのは営業担当者だ。営業力を高めるための施策は、どのような会社でも必須のものといえるだろう。そこでこの記事では営業のクロージングに関するテクニックとトーク10選を紹介する。営業力を高める施策を考えるにあたり「おさらい」として利用してもらいたい。

目次

  1. クロージングとは?
  2. クロージングのテクニック5選
    1. 1.テストクロージング
    2. 2.サイレントクロージング
    3. 3.タイミングを選ぶこと
    4. 4.決断できない理由をなくすこと
    5. 5.ドア・イン・ザ・フェイス
  3. クロージングのトーク5選
    1. 1.肯定暗示法
    2. 2.選択肢を与えること
    3. 3.イエスクロージング
    4. 4.期限を設定すること
    5. 5.ペンを渡すこと
  4. クロージング力をアップして営業力を高めよう!

クロージングとは?

営業のクロージングとは?クロ−ジングのテクニックとトーク5選
(画像=naka/stock.adobe.com)

クロージングとは、営業活動において商談相手との契約を締結することを意味している。営業活動は、アプローチから始まりデモンストレーションなどを行いクロージングによって完結するのが一般的な流れだ。営業活動の成果は獲得した契約によってのみ評価されるものであるため、クロージングは営業活動の最も重要な過程ということもできるだろう。

成績が上がらない営業担当者は、このクロージングを苦手としていることが多い。「押し売りのような強引な印象を与えるのではないか」「断られたらどうしよう」などと思うあまりクロージングを仕掛けられなくなるのである。しかしクロージングを行わずに結論を先延ばしにすることにより商談相手が消極的になってしまい契約を逃すことになるのはよくあることだ。

自社の製品やサービスが本当によいものならばクロージングを行わないのは商談相手にとって「損失」ともいえる。またクロージングを行った結果として仮に断られたとしても、その場合には断りの理由をしっかりと確認することが可能だ。理由を分析し提案を修正すれば再度提案ができるケースもあるだろう。そのためクロージングはしっかりと行うべきなのである。

クロージングの成功率を高めるためには、基本的には「話すタイミング」「話し方」「話す内容」といった3つの要素が必要だ。この3つを「それぞれにどのように改善および組み合わせるか」が重要となってくる。そのテクニックとトーク10選を以下で紹介していく。

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クロージングのテクニック5選

営業におけるクロージングの代表的なテクニックとして主に以下の5つが挙げられる。

  1. テストクロージング
  2. サイレントクロージング
  3. タイミングを選ぶこと
  4. 決断できない理由をなくすこと
  5. ドア・イン・ザ・フェイス

1.テストクロージング

テストクロージングとは、実際にクロージングを行う前に「契約する意志があるかどうか」を確認することである。クロージングのテクニックとして最も代表的なものだ。具体的には、以下のような質問を商談の相手にしてみる。

  • これから商品についてのご説明をいたしますが、条件が整いましたらご契約されたいと思われますか?

  • 今月末での納品が可能でしたらご検討いただけますか?

質問に対して「No」の答えが返ってきたり言葉をにごすような反応が見えたりした場合には、そのままでのクロージングは難しいと考えられる。その場合には、商品やサービスに対する相手の期待度を確認する以下のような質問をしてみよう。

  • 「本商品をご購入いただくことにより、御社での〇〇の課題は解決するとお感じですか?」

その返答により商品の魅力が相手に十分に伝わっていないと感じられた場合には、商品を購入するメリットについて具体的なイメージが持てるような説明をさらに行う。しっかりとフォローを行うことにより、あらためてクロージングに持ち込めるケースは多い。

2.サイレントクロージング

サイレントクロージングとは、相手が真剣に検討するために沈黙(サイレンス)したときに余計な言葉を挟まないことによってクロージングを成功させるテクニックだ。「ご契約いただけますか?」の最後の一言の後、商談の相手が沈黙してしまうことは多い。相手が沈黙すると営業担当者は往々にして「断られるのではないか」と考えてさらに言葉をかけたくなりがちだ。

しかし最後の沈黙は「ゴールデンサイレンス」とも呼ばれ商談相手は結論を導き出すべく考えているのである。そのため余計な言葉を挟まず営業担当者も沈黙することによりクロージングの成功率は高まるのだ。

3.タイミングを選ぶこと

クロージングの成功率を高めるためには、タイミングを選ぶことが大事だ。営業担当者がまだ話している最中でも契約に持ち込めそうな雰囲気になってきたならクロージングをしてみる価値がある。逆に最後まで話し終わっても反応があまりよくない場合、クロージングしないほうがいいケースもあるだろう。

タイミングを判断するポイントは、商談の相手が「なるほど」と思う瞬間があったかどうかが重要なものの一つとなる。それまで分からなかったことが納得に変わることでクロージングの成功率を大きく高めることが期待できるのだ。

4.決断できない理由をなくすこと

商談相手が決断できない理由を一つずつ解消してあげることもクロージングには欠かせないテクニックだ。商談相手が契約を決断できない理由は主に以下の3つの不安があるといわれている。

  • もっと安いものがあるのではないか
  • もっとよいものがあるのではないか
  • 営業担当者を信じてもよいのか

これらの不安を解消することによりクロージングの成功率を高めることが可能だ。相手の不安を解消するためには、営業担当者が「この商品や本当に安くてよいものだ」と信じそれをまっすぐに伝えることが大きなポイントとなるだろう。

5.ドア・イン・ザ・フェイス

ドア・イン・ザ・フェイスとは、最初にわざと高い要求をして商談相手に断らせてからそれより低い要求を持ちかけるテクニックだ。人間は、断ると後ろめたさを感じ「何かのお返しをしなくてはならない」と感じる心理があるといわれている。その心理を利用して仮の要求を断らせてから本当に通したかった要求をするものだ。

「ドア・イン・ザ・フェイス」の名称は、営業担当者がわざと断らせるために、ドアが開いたらいきなり顔を突き出す動作に由来するといわれている。ドア・イン・ザ・フェイスの具体的なテクニックとして相手の要求より高めの見積書と低めの見積書の2つを用意するなどのことが挙げられるだろう。

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クロージングのトーク5選

クロージングの際のトークとして代表的なテクニックは主に以下の5つが挙げられる。

  1. 肯定暗示法
  2. 選択肢を与えること
  3. イエスクロージング
  4. デッドラインクロージング
  5. ペンを渡すこと

1.肯定暗示法

肯定暗示法とは、ポジティブでメリットを言い切る言い回しを使用することにより商談相手に信頼感を抱かせるクロージングのトークである。人間には、ポジティブに言い切る発言をする人を信じやすい心理があるのだ。肯定暗示法はその心理を利用するものである。肯定暗示法をクロージングに活用するためには、商談の成約を前提として話を断定しながら進めることがポイントだ。

例えばまだ商談が成立していなくても「お届けはいつごろがよろしいですか?」などと質問することが挙げられる。ただし肯定暗示法はやや強引な話法となるため、タイミングを選ぶことが重要だ。

2.選択肢を与えること

商談の相手に選択肢を与えることもクロージングの重要なテクニックの一つだ。一般的に人間には「自分自身で決めたい」と考える心理がある。したがって選択の余地がないところで決断を迫られるとそれを拒否したくなる心理が働く可能性が高い。そこでクロージングを行う際には3つ程度の選択肢を用意するのだ。

ここで価格が異なるものを3つ選ぶと「松竹梅の法則」が働き「竹」が選ばれる可能性が高くなる。選択肢には、勧めたいプランを「竹」の位置づけとして入れておくのがよいだろう。

3.イエスクロージング

イエスクロージングとは、商談相手に「イエス」と答えさせる質問をくり返し行うことで相手の購買意欲を高めるトークテクニックだ。人間には一般的に何度も同意していると同意した相手を信頼しやすくなる心理があるといわれている。イエスクロージングはその心理を利用したものだ。具体的には例えば「この商品は黒ではなく白はありませんか?」と聞かれたとき「ございません」と即答しない。

その代わり「お客様は白がお好みですか?」と聞いてみる。「そうなんです」の答えを得たあと「シルバーならございますが白をお取り寄せするのとどちらがよろしいでしょうか?」と聞いてみるといった具合だ。

4.期限を設定すること

期限を設定することもクロージングの成功率を上げるためのトークテクニックの1つとなる。期限を設定するのは、いったんクロージングしたものの即決に至らなかった場合に有効だ。決断するための期限を区切ることにより決断を促す効果がある。ただし期限を区切るためには、なぜ期限を区切らなければならないかを商談相手にしっかりと納得させることが重要だ。

「見積書の有効期限」「低金利の今だからこそ」など相手を納得させられる理由を考えよう。

5.ペンを渡すこと

クロージングの最終段階となり契約書を目の前にしながらもまだ迷っているように見える商談相手に対しては、ペンを手渡すこともクロージングを促すための有効なテクニックとなる。特に言葉は発しなくてもニッコリと笑いながらペンを差し出すだけで十分だ。商談相手がペンを受け取れば、契約書にサインすることに前向きであることを示すことになる。後は、契約書の書き方を説明するだけでよい。

クロージング力をアップして営業力を高めよう!

営業活動とはクロージングを目的として行うものだ。クロージングには以上で見てきた通り多くのテクニックがある。クロージングのテクニックを営業部隊へ身に着けさせることにより営業力を高めることが期待できる。ただしテクニックを重視しすぎる営業は、商談相手の不信感を招くことにもなりかねない。営業活動は、商談相手の利益を何よりも重視することを忘れないことが重要だろう。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)