「経費精算の手間をなんとか削減できないか…?」と悩んでいる中小・ベンチャー企業の経営者は多いのではないだろうか。中小・ベンチャー企業では、経理処理を経営者自らが行うケースも多いだろう。経費精算は、経理処理の中でも労力がかかる業務の1つだ。そこでこの記事では、経費精算とはどのようなものか、また経費精算業務を効率化する経費精算システムを紹介する。

目次

  1. 経費精算とは?
  2. 経費精算の勘定科目
    1. 旅費交通費
    2. 通信費
    3. 消耗品費
    4. 接待交際費
  3. 経費として認められる基準
  4. 経費精算の業務フロー
    1. ステップ1. 経費申請および仮払い申請を行う
    2. ステップ2. 経費精算書を領収書とともに提出する
    3. ステップ3. 精算書を承認し、会計処理を行う
    4. 法人カードを使用すれば経費精算は効率的に
  5. 経費精算システムの具体例
    1. 楽楽精算
    2. Dr.経費精算
    3. 経費精算freee
  6. 経費精算システムのメリット・デメリット
    1. 経費精算システムを利用するメリット
    2. 経費精算システムを利用するデメリット
  7. 領収書の電子化で経費精算システムはますます便利に
  8. 経費精算システムを導入し経費精算を効率的に行おう

経費精算とは?

経費精算とは?精算システムの具体例やメリット・デメリットを紹介!
(画像=fizkes/Adobe Stock)

経費精算とは、従業員が立て替え払いをした経費を、会計処理をした後に従業員に払い戻すことである。経費とは、事業を行う上で必要となる費用のことだ。損金として計上できるため、経費精算をしっかりと行うと節税にもつながる。

経費精算で使われる主な勘定科目は、以下のとおりだ。

  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 接待交際費

従業員が交通費や切手代、文房具など代金、接待のための飲食店への支払いなどを立て替え払いすると、経費精算が行われる。

ただし、これらのすべてが経費として認められるわけではない。経費があまりに高額である場合は、税務署から否認されることもある。何を経費と認められて何が認められないかは、わかりやすく整理して従業員に周知徹底する必要があるだろう。

経費精算はすべての従業員が行う可能性がある上に、業務フローが比較的複雑なので業務負担が大きい。経費精算システムを導入すれば、経費精算の負担は大幅に軽減されることになる。

経費精算の勘定科目

経費精算で使用される勘定科目について、詳しく見てみよう。

旅費交通費

旅費交通費は、業務を行うために支払った交通費や出張時の旅費などだ。具体的には、以下のようなものが該当する。

  • 電車やバスなどの運賃
  • タクシー代
  • 航空チケット代
  • 空港施設利用料
  • ガソリン代
  • 高速など有料道路の通行料金
  • 駐車場代
  • ホテルなどの宿泊費
  • 出張時の食事代
  • 従業員への日当(事業主の日当は経費として認められない)

従業員や役員が通勤するための交通費も、旅費交通費として計上することができる。しかし通勤交通費は、非課税限度額を超える場合は給与と見なされる。したがって、旅費交通費ではなく「通勤手当」として支給するのが一般的だ。

ガソリン代や駐車場代は、従業員や役員が所有する車を一時的に業務で使用する場合は旅費交通費として計上する。会社で所有する車などを継続的・定期的に使用する場合は、「車両費」として計上するのが一般的だ。

通信費

通信費は、郵便料金やインターネット料金、電話料金などだ。具体的には、以下のようなものが該当する。

  • 郵便料金 …切手代やはがき代、年賀状代、ゆうパック代、宅配便・バイク便代など
  • インターネット料金 …Wi-Fi使用料、プロバイダー料金など
  • 電話料金 …携帯電話料金、電報料金など

従業員が自分の携帯電話やスマホを業務で使用した場合は、業務で使用した時間数を計算し、その分の電話料金・Wi-Fi使用料などを経費精算することになる。

消耗品費

消耗品費とは価格が10万円未満のもの、もしくは耐用年数が1年未満のものを購入するための費用である。具体的な品目には、以下のようなものがある。

  • 文房具など
  • パソコン
  • プリンタなどのパソコン周辺機器
  • パソコンなどのソフトウエア
  • コップや皿などの雑貨

接待交際費

接待交際費は、会社の得意先や仕入先などに対する接待や供応、慰安、贈答などのための費用である。具体的には、以下のようなものが該当する。

  • 接待・供応のための費用 …接待時の食事代や送迎費、お土産費用、宴会費用
  • 慰安のための費用 …ゴルフコンペやスポーツ大会、慰安旅行など
  • 贈答のための費用 …お中元やお歳暮、慶弔費など

接待などが社外の関係者のためのものであれば、宴席などの参加者に社内の人間がいる場合でも、費用の全額が接待交際費として認められる。ただし、もっぱら社内の人間のためのものである場合は、接待交際費として認められない。

資本金が1億円以下の中小企業では、接待交際費は年間800万円まで損金算入が認められる。800万円を超える分については、損金不算入となる。

社外の関係者のための接待などであっても、1人あたりの支出が5,000円以下の場合は、接待交際費ではなく「会議費」として計上することができる。したがって上記の損金不算入額に、会議費は含めなくていいのだ。

社内の人間のための接待や慰安、あるいは食事にかかった費用は、福利厚生費あるいは会議費として計上する。

経費として認められる基準

経費は、事業のために必要となる費用であれば基本的に認められる。ただし、領収書やレシートなどの裏付けが必要だ。電車やバスの運賃のように領収書が発行されない経費については、交通費精算書などを作成し、利用区間や交通機関などを記録しておかなければならない。

ただし、旅費交通費のタクシー代やホテル代、日当、接待交際費などは、どの程度まで認められるかが曖昧になりやすい。役職などに応じてどこまでを経費として認めるかを、社内規程などによって明らかにしておく必要があるだろう。

接待交際費は、特に税務署からの調査が入りやすい項目だ。領収書の宛先は「上様」などではなく、会社名をしっかりと書いてもらうようにしよう。また、確かに社外の関係者を接待したことがわかるよう、参加者なども記録しておきたい。

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経費精算の業務フロー

経費精算の業務フローを見てみよう。経費精算の業務フローは、以下の3ステップが一般的だ。

  1. 経費申請および仮払い申請を行う
  2. 経費精算書を領収書とともに提出する
  3. 精算書を承認し、会計処理を行う

ステップ1. 経費申請および仮払い申請を行う

まず、経費を支出する担当者が経費申請を行う。経費の支出には社内の承認が必要になるからだ。経費申請書には、経費を支出する目的や金額、背景などを記入する。また、経費が多額になると見込まれる場合は、併せて仮払い申請も行う。経費申請と仮払い申請は、所定の上長による承認が必要だ。

ステップ2. 経費精算書を領収書とともに提出する

経費を支出したら、担当者は経費精算書を領収書とともに提出する。電車やバスの運賃など領収書が発行されないものを除いて、経費の支出は領収書がないものについては認められない。

領収書は、少額のものはレシートでもかまわない。一定金額以上のものについては、社名と但し書きを記入してもらおう。

仮払い申請書を提出した場合は、仮払い精算書を併せて提出する。

ステップ3. 精算書を承認し、会計処理を行う

提出された経費精算書を上長が確認し、問題がなければ承認する。承認された経費については、会計処理の後、担当者に支払う。支払方法は、

  • 現金で支払う
  • 銀行口座に振り込む
  • 給与にプラスして振り込む

などがある。給与にプラスして振り込むことが、業務を効率化できるのでおすすめだ。

法人カードを使用すれば経費精算は効率的に

以上が経費精算の一般的な業務フローとなるわけだが、法人カード・ビジネスカードを使用することにより経費精算業務の大幅な効率化が可能となる。

法人カードを使用すれば、経費はカードからの支払いとなるために仮払いは不要となる。したがって「担当者による経費精算」が省略できることになり、小口現金などの準備もしなくてよい。

また、経費精算にはどうしても「計上漏れ」や「精算漏れ」がつきものだ。しかし、経費の使途はカード利用明細から読み取るため、それらの漏れについても大幅な縮小が見込める。後述の経費精算システムを利用すれば、カード利用明細をオンラインで直接読み込めるため、精算業務はさらなる効率化が可能になる。

経費精算システムの具体例

経費精算を効率化するには、経費精算システムの利用が効果的だ。主な経費精算システムを見てみよう。

楽楽精算

楽楽精算は、導入企業数No.1のクラウド型経費精算システムだ。経費精算におけるすべての手続きを電子化し、一元的に管理できる。スマホを利用することで、交通系ICカードの利用履歴の取り込みや、領収書のOCR読み取りができる。

Dr.経費精算

同じくクラウド型経費精算システムであるDr.経費精算は、領収書自動読み取りの精度が高い。読み取られた領収書はクラウドで共有され、オペレーターが入力を代行するからだ。また、交通系ICカードは自動的に連携されるため、利用履歴を取り込む手間が省ける。

経費精算freee

経費精算freeeは、クラウド会計freeeの経費精算機能である。楽楽精算やDr.経費精算など経費精算に特化したものと比べると、経費精算機能はやや見劣りするが、会計ソフトと連携することで会計処理が大幅に効率化される。経費精算の承認も、モバイルなどで手軽に行うことができる。

経費精算システムのメリット・デメリット

経費精算システムを利用することのメリット・デメリットを見てみよう。

経費精算システムを利用するメリット

経費精算システムを利用するメリットは、経費精算のプロセスを効率化できることだ。経費を申請する担当者にとっても、それを承認する上長や会計処理をする経理担当者にとっても、経費精算にかかる労力を大幅に削減できる。それとともに残業代を削減し、労働環境健全化による従業員保護を実現できる。特に経理処理を経営者自身が行っている場合は、メリットを実感することだろう。

経費精算システムを利用するデメリット

経費精算システムを利用するデメリットは、システムの導入コストがかかることだ。ただし導入コストは、精算業務が効率化されることで得られるメリットを考慮する必要がある。また、経費精算システムはクラウド型のものが多いため、セキュリティが万全とは言い切れないこともデメリットと言えるだろう。

経費精算システムの費用は月払いあるいは年払いの支払いとなる。経費計上の際の勘定科目は「支払手数料」あるいは「通信費」が適当だろう。

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領収書の電子化で経費精算システムはますます便利に

2016年、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正され、スマホなどで撮影した領収書の電子データを、国税関係の書類のオリジナルとして使用できるようになった。

したがって、経費精算システムで領収書の画像データを作成すれば、領収書の原本を保存する必要がなくなった。経費精算システムは、ますます便利になったと言えるだろう。

経費精算システムを導入し経費精算を効率的に行おう

申請者にとっても承認者・経理担当にとっても、手間がかかるのが経費精算である。経理精算システムを導入することで、その手間は大幅に削減される。経費精算システムに導入にはコストがかかるが、削減される労力を考えると、高いとは言えないだろう。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)