「交通費はどのように計上すればいいのだろう?」と考えている中小・ベンチャー企業経営者や個人事業主は多いのではないだろうか。事業を行う上で、経費はすべて計上しなければならない。しかし、交通費は支払回数が多いため、1件ずつ会計ソフトに入力すると、膨大な手間がかかる。そこでおすすめなのは、交通費精算書を作成することだ。この記事では、交通費精算書のフォーマットや書き方などを詳しく解説していく。

目次

  1. 交通費は精算書を作成すると会計ソフトに入力する手間が省ける
  2. 交通費精算書のフォーマット

交通費は精算書を作成すると会計ソフトに入力する手間が省ける

交通費精算書を作成しよう!フォーマットや書き方を徹底解説
(画像=naka/stock.adobe.com)

会社経営者あるいは個人事業主として事業を行うことになったら、経費はすべて計上しなければならない。経費をきちんと計上するかどうかで、確定申告時の税額は大きく変わってくる。ここで問題になるのが「交通費」だ。外出が多い仕事だと、交通費は1日に何度も支払うことになる。それを1件ずつ会計ソフトに入力するのは、膨大な手間がかかる。

「交通費精算書」を作成すると、その手間を省くことができる。交通費の記録は、会計ソフトへの入力ではなく交通費精算書で行うのだ。

交通費精算書は、記録しやすい方法で作成しよう。エクセルなどで作成することもできるし、手書きでもかまわない。その上で、月に1回交通費の合計額を会計ソフトに入力するのだ。交通費精算書を利用することで、会計ソフトに入力する手間をかなり省くことができる。

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交通費精算書のフォーマット

交通費精算書のフォーマットは、以下のようになる。

日付 出発地 到着地 交通手段 片/往 目的 金額 レシートNo.
4月1日 渋谷 池袋 電車 K社との新規事業打合せ 200円  
               
               
               
  エクセルで作成する場合は、常に合計額を表示させておこう。そうすることで、合計額を計算する手間が省けるからだ。 ## 交通費精算書の書き方 交通費精算書の書き方を、項目別に見ていこう。 ・日付
交通費を支払った日付。 ・出発地・到着地
移動した際の出発地と到着地。電車なら駅名、バスなら停留所名、タクシーなどなら地名になる。 ・交通手段
電車、バス、タクシーなど、利用した交通手段。 ・片/往
片道なのか往復なのか。交通費精算書を作成する際は、この「片/往」の欄を設けることにより、交通費を入力する際の手間を省くことができる。 ・目的
交通費を支払って訪問した訪問先と用件。個人事業主が経費として計上できる交通費は、「事業に関連したもの」である必要がある。したがって、目的欄には事業との関連性がわかるように記入しよう。 (例) ◯社との新規事業打合せ 取引先◯社との会議 得意先◯社への納品 ◯社への営業 など ・金額
交通費の金額。 ・レシートNo.
タクシーや新幹線などを利用した場合は、レシートや領収証が発行される。レシートや領収書は、通し番号を付けた上で交通費精算書とともに保存する。「レシートNo.」欄にはその番号を記入する。 ## 交通費精算書を会計ソフトに入力する方法 交通費精算書は月ごとに締めて合計額を計算し、それを会計ソフトに入力するのが一般的だ。会計ソフトに入力する際の勘定科目は、「旅費交通費」とする。摘要は、「◯月分旅費交通費」などとしておくといいだろう。交通費精算書は、領収書とともに保存しておく。 ## 経営者・個人事業主とサラリーマンの交通費の違い 交通費はサラリーマンでも、経営者や個人事業主として事業を行う上でも発生するものだ。しかし、サラリーマンと経営者・個人事業主では、交通費の取り扱いは異なる。 ### サラリーマンの交通費の取り扱い サラリーマンでも、業務で外出する際は交通費を支払う。営業職の場合は、交通費を頻繁に支払うことになるだろう。その場合は、交通費精算書に記入することになる。 サラリーマンの場合、交通費はあくまでも会社が支払う経費である。通勤のための交通費が定期代などとして支給されるのはもちろんのこと、業務上支払った交通費も会社が支払うことになる。したがって、サラリーマンが交通費を税務署に対して申告することはない。 ### 経営者・個人事業主にとっての交通費の取り扱い それに対して経営者や個人事業主として事業を行う場合は、交通費は自分が支払うことになる。ただし、それらを「経費」として申告することができる。 事業主は、自分が事業を行うことで売上を獲得する。売上を獲得するためには経費がかかり、経費を売上から差し引いたものが「所得」になる。交通費も同じだ。事業を行うために、交通費を支払って取引先を訪問することは多いだろう。その際の交通費は、すべて経費として計上することができる。 サラリーマンから事業主になって間もないと、この「経費」の概念が希薄になりがちである。交通費は金額が小さいため、計上をうっかり忘れてしまうこともあるかもしれない。 しかし「チリも積もれば山となる」ということわざがあるように、少額であっても経費はしっかり計上していかないと、税務申告の際の所得額に大きな差が生じる。不要な税金を支払わなくてもいいように、交通費はしっかり記録しておこう。 >>会員登録して限定記事・イベントを確認する ## 経費として計上できる交通費とは? 経費として計上できる交通費には、どのようなものがあるのだろうか?事業主が交通費を計上する際は、「旅費交通費」という勘定科目を使う。旅費交通費として計上できるものには、以下のようなものがある。 電車やバスなどの運賃、定期代 タクシー代 ガソリン代やパーキング代、高速料金など自動車での移動にかかる費用 航空運賃 * ホテルの宿泊料金や食事代など出張のためにかかる費用 このように、旅費交通費には出張費用も計上することができる。ただし、出張費用は宿泊料金や食事代など、通常の交通費とは内容が異なる。したがって、出張費は交通費精算書に記録するのではなく、出張ごとに別のフォーマットで記録することをおすすめする。 経費として計上できる交通費は、あくまでも「事業のために必要なもの」に限られる。プライベートで利用した交通費は、経費として計上することはできない。旅費交通費があまりにも高額になった場合は、税務調査などで指摘を受けることもある。事業のための経費とプライベートの支出とは、領収書を分けるなどしてしっかりと区別しよう。 中小・ベンチャー企業なら、従業員を雇用しているケースも多いだろう。その場合は、従業員が使用した交通費も「旅費交通費」で処理することになる。従業員の定期代や通勤手当、出張手当なども旅費交通費に含める。 ## 領収書がない場合にはどうしたらいい? 経費を計上するためには、原則として領収書が必要だ。したがって、タクシー代や新幹線の料金、ガソリン代、パーキング代、航空運賃など領収書やレシートが発行されるものについては、領収書・レシートを必ずもらい、交通費精算書とともに保存しよう。 しかし電車賃やバス代などは、一般的に領収書が発行されない。そこで、交通費精算書を作成するのである。交通費精算書に日付や利用区間、交通手段、利用目的とともに金額が記載されていれば、それを領収書の代わりにすることが認められている。 したがって、交通費精算書はしっかり記入する必要がある。特に「目的」については、業務との関連性がはっきり分かるように記入しよう。 ちなみにクレジットカードで精算すると、カード会社や銀行口座に支払い履歴が残るので、領収書をなくした場合でも経費として計上することが可能だ。 ## ICカードを利用した場合にはどうしたらいい? SuicaなどのICカードで交通費を支払うケースは多いだろう。ICカードを利用した場合、交通費の計上はどのようにすればいいのだろうか? ### ICカードへのチャージは原則として旅費交通費に計上できない ICカードへのチャージは、原則として旅費交通費に計上できない。ICカードは交通費だけでなく、さまざまな用途に使えるからだ。 ただし、クラウド会計ソフトなどを使用している場合は、銀行口座などからチャージした金額を帳簿に自動入力できる。それを「旅費交通費」とすれば、交通費精算の手間が大幅に省けることになる。 ICカードへのチャージを旅費交通費として計上する方法は、以下のとおりだ。 ### 旅費交通費として計上する方法 ICカードへのチャージを旅費交通費として計上するためには、以下の2つが必要になる。 1. ICカードの利用目的を交通費に限定する 2. 利用明細を出力して保存する 1. ICカードの利用目的を交通費に限定する
ICカードへのチャージを旅費交通費として計上するためには、ICカードを交通費の支払いのみに限定して利用する必要がある。したがって、交通費以外にもICカードを利用する場合は、ICカードを複数持たなければならない。面倒であっても、そのようにしなければICカードへのチャージを旅費交通費には計上できない。 2. 利用明細を出力して保存する
ICカードの利用明細を出力して、保存する必要もある。Suicaなどの場合は、駅にある自動販売機で最大100件までの利用履歴を出力できる。これを保存しておけば、ICカードへのチャージが確かに交通費の支払いに使われたと証明することができる。 ### ICカードへのチャージを年内に使い切れなかった場合はどうしたら? ICカードへのチャージを年内に使い切ることができず、年を越してしまうこともあるだろう。そのままでは、前年に計上した旅費交通費を翌年に使うことになってしまい、会計処理として適切ではない。 その場合は、年内に使い切れずに余ってしまったチャージ金額を、「前払金」に振り替えておく。そうすれば、年内にチャージした金額と実際に支払った交通費が一致する。 ## 交通費精算書を作成してしっかり計上しよう 経営者や個人事業主になったら、経費はすべて計上する必要がある。支払回数が多い交通費は、交通費精算書を作成すれば、1件ずつ会計ソフトに入力する手間が省ける。 交通費などの少額の経費であっても、不要な税金を支払うことのないよう、交通費精算書を作成して正しく計上するようにしたい。 文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)