インターネットを通じて確定申告ができる仕組み「e-Tax(イータックス)」を利用するメリットは年々、大きくなっている。2019年1月以降、スマホ申告の登場などによりこれまで以上に使いやすくなったが、2020年分以降の確定申告ではe-Taxにすると節税メリットが大きくなる。e-Taxのメリットと使い方の手順について解説する。

鈴木まゆ子
鈴木 まゆ子(すずき・まゆこ)
税理士・税務ライター。税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU online」「マネーの達人」「朝日新聞『相続会議』」などWEBで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」。

目次

  1. 「e-Tax(イータックス)」とは何か?
  2. e-Taxのメリット6つ
    1. メリット1:自宅からでも確定申告ができる
    2. メリット2:マイナンバーカードで手続きが簡略化された
    3. メリット3:2020年分からe-Taxの利用で青色申告特別控除額が65万円に
    4. メリット4:還付がスピーディー
    5. メリット5:24時間申告可能
    6. メリット6:添付書類を一部省略できる
  3. e-Taxでの確定申告の流れ
    1. 1.e-Taxを行うための事前準備
    2. 2.確定申告書の作成作業
    3. 3.還付または納付

「e-Tax(イータックス)」とは何か?

「e-Tax(イータックス)」で確定申告!そのメリットと手順を簡単ガイド
(画像=PIXTA)

e-Taxは正式名称を「国税電子申告・納税システム」といい、国税に関する申請・申告・納税に関するオンラインサービスのことだ。国税庁が運営主体だ。

公的個人認証サービスポータルサイトにて電子署名、本人確認を行った上で、これらの税務手続きを行うのが特徴だ。e-Taxのシステムは2004年から存在しているが、インターネット環境の向上やマイナンバー制度の開始、e-Taxの手続きの簡便化などに伴い、年々利用者が増加している。

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e-Taxのメリット6つ

e-Taxの主な6つのメリットを確認しよう。

メリット1:自宅からでも確定申告ができる

一番のメリットは自宅で確定申告が完了するという点だ。従来の紙の確定申告書は、作成した後、直接税務署に提出に行くか、郵送で提出する必要があった。しかし、e-Taxを使うと、確定申告書を作成したらウェブ上で提出ができる。家から一歩も出ないで確定申告の作業を終わらせることができるのだ。

メリット2:マイナンバーカードで手続きが簡略化された

「e-Taxに興味はあるけど、手続きが面倒だな」という人に朗報だ。2020年(令和1年分)の確定申告からe-Taxがより簡単に使えるようになった。

従来のe-Taxでは、「プラスチックのマイナンバーカードを用意する」「管轄の税務署でe-Tax用のID・パスワードを取得する」の2つの手続きを事前に行わなくてはならなかった。ID・パスワードを取得するには、平日の日中に税務署に行かなくてはならない。そのため、e-Taxの事前手続きは多忙なビジネスパーソンにとって高いハードルだったのだが、今回の確定申告から次のいずれかの方法で確定申告ができるようになった。

1.マイナンバーカード方式

プラスチックのマイナンバーカードを持っている人は、税務署でのID・パスワードの取得手続きをしなくてもそのままe-Taxで確定申告ができる

2.ID・パスワード方式

プラスチックのマイナンバーカードがなく、紙の通知カードのみを持っている人は、管轄の税務署に行って本人確認をし、ID・パスワードを発行してもらえばe-Taxで確定申告ができる

日中仕事で忙しいビジネスパーソンは、1.のマイナンバーカード方式を用いれば税務署に行かなくてもe-Taxで申告ができる。市区町村の役所は週末窓口を開けているところも増えてきたので、マイナンバーカードを取得するのはさほど大変ではない。

ただ、後述するが、マイナンバーカードがあってもパソコンやスマホでの申告は別途アプリやソフトのインストールが必要になる。この点だけは留意しておきたい。

メリット3:2020年分からe-Taxの利用で青色申告特別控除額が65万円に

2018年度税制改正により、青色申告控除のしくみが変更された。これまで青色申告の最大の目玉である65万円の特別控除は、複式簿記など他の要件を備えていれば申告方法は問われなかった。しかし2020年分以降、紙で申告書を提出すると、いくら他の要件を備えていても65万円から55万円に特別控除額が引き下げられてしまう。ただし、e-Taxで申告を行えば65万円の特別控除は維持できるのだ。

なお、e-Tax以外に「電子帳簿の保存」という事前申請を2020年9月30日までに行えば紙の申告であっても65万円控除を維持できるが、「一部の会計ソフトでないと要件を満たせない」「帳簿保存に関する規定を自ら準備する」などとハードルが高い。e-Taxのほうがとりかかりやすいと言えるだろう。

メリット4:還付がスピーディー

納税者の多くにとって気になる還付もe-Taxの方が早い。紙の申告だと申告してから還付までに1ヵ月から1ヵ月半かかるが、e-Taxだと2~3週間で還付される。

メリット5:24時間申告可能

税務署は原則9時〜17時までしか開いていない。確定申告期間は特別会場を設けるが、多くは8時30分から16時までが受付時間だ。土日に開庁することもあるが通常2日しかない。平日の日中に働く身としては紙での申告は時間的な制約が大きい。

しかし、e-Taxなら24時間申告ができる。平日夜間や土日祝日でも申告書の送信は可能だ。いちいち有休休暇をとらなくてもコツコツ空いた時間を見て作業をすれば確定申告が完了する。

メリット6:添付書類を一部省略できる

マイナンバー制度の普及・浸透に伴い、確定申告において医療費控除の領収書や各種源泉徴収票の添付が不要とされるようになってきた。しかし、それでも生命保険料控除や地震保険料控除などの証明書類は添付が必要とされている。ただ、e-Taxだとそれらも添付を省略できるのだ。提出を省略できる添付書類として主なものは次の通りだ。

  • 社会保険料控除の証明書
  • 小規模企業共済掛金等控除の証明書
  • 雑損控除の証明書
  • 寄附金控除の証明書
  • 生命保険料控除・地震保険料控除の証明書
  • 住宅ローン控除に関する証明書(適用2年目以降のみ)

なお、添付を省略できない書類であっても、イメージデータ(PDF)で送信することができるものもある。1年目の住宅ローン控除や相続した空き家の3,000万円控除が一例だ。詳細は、以下のPDFに記載されている(2020年1月1日現在)。

参考:「イメージデータで提出可能な添付書類(国税庁)」

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e-Taxでの確定申告の流れ

ではここから、e-Taxで申告するための手続きについて解説する。流れは「e-Taxを行うための事前準備」→「e-Taxでの確定申告書の作成」→「還付または納付」になる。ステップごとに以下、解説する。

1.e-Taxを行うための事前準備

先ほども触れたが、e-Taxには「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つがある。それぞれ事前準備が必要だ。

 (1) マイナンバーカード方式   マイナンバーカード方式はマイナンバーカードさえあればすぐに行える。ただ、パソコンで申告するか、スマホで申告するかで異なった準備が別途必要だ。    [1]パソコンで申告する場合

 パソコンで申告するなら、マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダライタが必要だ。このほか、マイナンバーの電子証明書を使うための「利用者クライアントソフト(JPKI利用者ソフト)」をパソコンにインストールしなくてはならない。このインストールは公的個人認証サービスのサイトからダウンロードできる。   リーダライタでマイナンバーカードを読み込んだ後、マイナンバーの利用者証明用の番号や券面事項補助用パスワードを入力する。その後、新たにe-Taxを利用する人は個人情報を入力し、すでに利用したことのある人は利用者識別番号を入力することとなる。

 [2]スマホで申告する場合

 スマホで申告するならICカードリーダライタは不要だ。ただし「スマホがマイナンバーカードに対応している機種であること」「給与所得・雑所得(公的年金等を含む)・一時所得しかないこと」が条件だ。スマホで申告するときは、国税庁の確定申告書等作成コーナーから入ることになる。

 (2) ID・パスワード方式    ID・パスワード方式は事前に税務署で本人確認を行い、IDとパスワードの交付を受けることが必要だ。この他、マイナンバーカード方式と同じように自分のパソコンやスマホがオンラインでの確定申告可能な機種であるかどうかを確認する必要がある。

2.確定申告書の作成作業

「1.e-Taxを行うための事前準備」はいわばe-Taxを行うための初期設定の話だ。これだけで確定申告ができるわけではない。e-Taxで確定申告を行うにしても、紙での申告と同じく次のような確定申告の地道な作業が求められる。

 (1) 領収書や源泉徴収票・控除証明書など書類の整理と計算

確定申告をするには、いきなりウェブ上の画面に入力するのではなく、必要な書類を整理することが重要だ。事業所得や不動産所得、雑所得がある人は総収入金額や必要経費の計算に必要な領収書や請求書、支払調書や預金の通帳の内容を整理し、「総収入金額 -必要経費=所得額」を計算しておこう。また、還付申告であっても、医療費控除のレシートやふるさと納税の寄附金の証明書などをあらかじめ整理しておいたほうがよい。

さらに、還付申告になるなら還付先の銀行口座を用意することが必要だ。なお、マイナンバーについてはどんな確定申告でも必要なので、きちんと準備しておこう。

 (2) 国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成・送信

上記作業が完了したら、国税庁の確定申告書等作成コーナーでの入力作業だ。確定申告の入力作業は次の流れで進む。

[1] 総収入金額、必要経費(給与所得については不要)を算出し、所得額を計算
[2] 事業所得・不動産所得は収支内訳書か青色決算書を作成
[3] 確定申告書に「収入金額→所得金額→各種控除額」を入力
[4] 還付か納税かが判明する

(1)で整理した必要書類や計算した内容を元に入力していく。なお、国税庁の確定申告書等作成コーナーのシステムは計算ミスが生じないよう、かなり厳格に作られている。たとえば、「平成31年5月」と入力しようとしても画面は反応しない。「あっ間違えた!『令和1年5月』ってしないといけないんだ!」と本人が気づいて修正しないと次の入力画面には移らない。入力エラーが生じても慌てず、「どこでミスが生じたのか」を冷静に確認していこう。 別途、税務署に送付する書類がある場合、e-Taxで確定申告書を提出した後にダウンロードできる「申告書等送信票(兼送付書)」を同封して提出先の税務署に送付しよう。税務署の住所も送信票に記載されている。

3.還付または納付

還付は確定申告書等作成コーナーで還付先口座を入力すれば、e-Taxで送信後、通常2~3週間で還付金が振り込まれる。この還付先口座は確定申告書の名義と同じものでないといけない。妻や子ども、親の名義の口座にはしないよう注意しよう。

また、納付は現金で税務署や金融機関の窓口で納付する他、クレジットカードや口座振替も利用できる。最近コンビニエンスストアでの納付も可能になったが、これにはQRコード付きの納付書を別途発行してもらうことが必要だ。

以上がe-Taxのメリットと手順になる。事前の準備に一手間かかるが、一度やれば後は毎年同じようにオンラインで確定申告作業が完結する。書類作成や税務署で並ぶ時間をe-Taxで省けば、その分ビジネスやプライベートの充実を図ることができる。ぜひ、活用してみよう。

(文/税理士・税務ライター 鈴木まゆ子)