信用金庫などへの出資金の会計処理には、少しややこしいポイントがいくつかある。ケースによって勘定科目が変わってくるため、「仕訳がなかなか進まない…」と悩んでいる事業者は多いはずだ。

そこで本記事では、「出資をしたとき」「出資を受けたとき」の2つのケースに分けて、会計処理の基礎を徹底的にまとめた。将来的に発生する手間を削減するためにも、自信のない経営者や担当者はぜひ読み進めていこう。

目次

  1. そもそも出資金とは?事業者が出資金を支払う目的
    1. 事業者が支払う出資金の具体例
  2. 出資金の勘定科目と仕訳例
    1. 1.信用金庫への出資金の仕訳例
    2. 2.ゴルフクラブへの出資金の仕訳例
    3. 3.出資によって損失が生じたときの仕訳例
    4. 企業への出資金は3つのパターンに分けられる
  3. 出資を受けたときの勘定科目と仕訳は?
    1. 会計処理は避けては通れない業務!これを機に正しい基礎知識を

そもそも出資金とは?事業者が出資金を支払う目的

出資をしたとき・受けたときの会計処理は?出資金の勘定科目と仕訳の例を紹介
(画像=Indypendenz/Shutterstock.com)

一般的に出資金とは、会社が事業を行うために受け取った金銭を指す。株式の購入を通して提供された金銭も出資金と呼ばれており、いずれのケースにおいても出資金は資本金(もしくは資本準備金)として利用される形が主流だ。ちなみに、出資金を提供した人物は「出資者」と呼ばれている。

出資金と聞いて、上記のように「会社が受け取るもの」とイメージする経営者は多いだろう。しかし、実は出資金にはもうひとつの意味があり、組合などに提供したお金も同じく「出資金」と呼ばれている。

では、一般的には出資金を受け取る側の事業者が、なぜ逆に出資金を支払うのだろうか。その理由は、入会する事業者に対して出資金を募っている組合が存在しているためだ。つまり、事業者は特定の組合への入会を果たす目的で、出資金を支払うことがある。

事業者が支払う出資金の具体例

では、具体的にどのようなものが「事業者が支払う出資金」に該当するのか、以下でいくつか例を見てみよう。

事業者が支払う出資金の例 概要
信用金庫などへの出資 信用金庫や信用組合、協同組合などへの出資金。たとえば、信用金庫は入会時に出資金の提供が必須であり、経営黒字によって剰余金が生じた場合には、出資高に応じた配当を受け取れる。
生活協同組合への出資 生協(コープ)でお馴染みの「生活協同組合」も、入会時に出資金を募っている。金額は500円~1000円ほどであり、脱退・退会時には返還される。
株式会社以外の会社への出資 合名会社・合資会社・合同会社・有限会社への出資金。これらの会社に出資して得た持分は、株式とは特性が大きく異なるため、税務上では有価証券とは分けて扱われる。
ゴルフクラブの入会金 ゴルフクラブへの入会金や、会員権を取得するために費やしたコストは、税法上では出資金として扱われる。 各種クラブの入会金
各種クラブの入会金 テニスクラブやレジャークラブなど、各種クラブへの入会金も税法上では出資金として扱われる。

上記のほか、匿名組合への出資や商工会議所への出資など、事業者が支払う出資金にはさまざまなものがある。中でも信用金庫や信用組合への出資金は、組合員になって融資を受けるためには必須となるので注意しておきたい。

また、出資金と聞いて、善意での資金提供や寄附などをイメージしていた経営者もいることだろう。しかし、上記で挙げた例のように、「入会金」の役割を果たす出資金が存在する点はしっかりと理解しておくべきだ。

出資金の勘定科目と仕訳例

上記で解説した「事業者が支払う出資金」は、基本的には「出資金」という資産を表す勘定科目で処理をする。ただし、ケースごとに仕訳の方法が若干変わってくる点には注意が必要だ。

そこで以下では、いくつか例を挙げて出資金の仕訳について解説をしていく。正しく理解することが経営の効率化につながるため、しっかりと読み進めていこう。

1.信用金庫への出資金の仕訳例

まずは、信用金庫から融資を受けるために、10万円の出資金を支払った場合の仕訳を見ていく。

借方科目 金額 貸方科目 金額
出資金 100,000円 現金 100,000円

借方の勘定科目は前述の通り、「出資金」と記載する。貸方科目は現金支払いであれば「現金」、口座から引き落としであれば「普通預金」と記載しておけば問題ない。

では、次に信用金庫から退会し、出資を停止した場合の仕訳を見ていこう。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 100,000円 出資金 100,000円

信用金庫への出資を停止した場合は、入会時に支払った出資金が振り込みによって返金される。そのため、借方科目は「普通預金」、貸方科目は「出資金」のように、入会時とは勘定科目を逆に記載すれば仕訳は完了だ。

ちなみに信用組合や生活協同組合など、組合への出資についても仕訳方法は同様となる。

2.ゴルフクラブへの出資金の仕訳例

では、ゴルフクラブやレジャークラブなどの会員権を購入する場合は、どのように仕訳をするのだろうか。以下は、ゴルフクラブ会員権を100万円で購入し、その代金を小切手で支払った場合の仕訳例だ。

借方科目 金額 貸方科目 金額
出資金 1,000,000円 当座預金 1,000,000円

基本的な流れは信用金庫への出資と同じだが、小切手で支払っている場合は貸方科目を「当座預金」にする。金額については、ゴルフクラブ会員権の購入価格だけではなく、仲介業者への手数料や入会金も含めた額を記載する。たとえば、ゴルフクラブ会員権が100万円、入会金と手数料の合計額が30万円であれば、130万円と記載すれば問題ない。

また、中には会員権を購入したものの、将来的には他者に譲渡したい経営者もいることだろう。仮に購入時と同じ100万円で会員権を譲渡し、その代金が普通口座に振り込まれた場合には、以下のような形で仕訳を行う。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 1,000,000円 出資金 1,000,000円

迷う要素は少ないが、上記はあくまでも「購入価格と譲渡価格が同じ場合」の仕訳となるため注意しておきたい。